アルジャジーラとはどういうテレビ局か

アルジャジーラとはどういうテレビ局か オルファ・ラムルム 藤野邦夫訳 平凡社
ISBN4-582-83289-X 1,500円 2005年10月

目次
はじめに
    I アラブ社会の識別標としてのアルジャジーラ
第1章 見えてきた成功のきざし
第2章 成功した理由
第3章 そしてビンラディンはアルジャジーラを選んだ
    II アラブ社会の対抗権力としてのアルジャジーラ
第4章 アルジャジーラの形成過程または両面を持つ起源
第5章 イスラム教に向き合うアルジャジーラ
第6章 アルジャジーラのプリズムで見たイスラエル・パレスチナ紛争
第7章 侵食されるアラブの秩序
    III アメリカにたいする挑戦としてのアルジャジーラ
第8章 アルジャジーラと「対テロ戦争」
第9章 アメリカと「対イラク予防戦争」
第10章 アルジャジーラの揺るぎなき運営
終章 反逆と矛盾としてのアルジャジーラ 可能性の場を開くメディア
原注
訳者あとがき

 いまや「世界はCNNを見て、CNNはアルジャジーラを見ている」とまでいわれるようになったアルジャジーラ。なんといってもアフガン戦争時からの印象が強い。実際、アメリカのメディアが入り込めなかった、イスラム地域内の紛争の場に入り込めたということが強いと思う。そして、ビンラディンにも選ばれたことが。

 かつてはBBCやサウジアラビアの援助から出発したアルジャジーラは、取材時の公平さ(反対意見を持つものも登場させる)で、イスラム世界の声を伝えるメディアとして、イスラム内外で支持を得たのだろう。

 現在もイスラム内、あるいは西側諸国、またカタール政府(王家、スポンサーでもある)の圧力の中、微妙なバランスで綱渡りをしている。

 職場の隣にカタール大使館がある。屋上には巨大なパラボラアンテナが立っている。カタール政府自身も、石油後を見込んで“情報立国”を目指しているのだろうか。

 ただこの本は、なかなか頭に入らないアラブ系の固有名詞が当然多く登場するためか、読みづらかった。

2005年11月記

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