角が生えた男

角が生えた男 ジェイムス・ラスダン 谷みな子訳 DHC
ISBN4-88724-351-0 2003年11月 1,700円

 大学講師である主人公は、彼の研究室に他人が入り込んでいることに気がつく。前任者は殺されたそうだ。そして、見えない影にだんだんと追いつめられていく。彼が思いこんでいる者が犯人なのか、前妻キャロルはなぜ彼のもとを去ったのか、彼がセクハラを証言した者はどういう役割か、エイレンが彼に親しみを示すのは、彼には身に覚えがない彼からの手紙を受け取ったからなのか、一つの歯車が狂い、彼の対応もピントがずれたものになり、いっそう混乱した状況が生み出される。最後には彼には角が生えてくるし、殺人犯にも仕立て上げられそうになる。だが、これはほんとうに起こったことなのか、彼の幻想(妄想)なのか。でも、この本ではそうしたことは意味がないだろうし、最後まで読んでも解決するわけではない。

2004年5月記

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