太陽系の果てを探る 第十番惑星は存在するか 渡部潤一 布施哲治
東京大学出版会 ISBN4-13-063702-9 2,800円 2004年4月
目次
はじめに
本書を読むにあたって
1 太陽系 発見の歴史
2 彗星
3 太陽系の外側に何かがある?
4 賑やかになってきた太陽系外縁部
5 EKUBOのいま
6 第十番惑星はあるのか?
おわりに
引用文献
索引
太陽系の中の小天体を探る。まず、基本的な用語解説がある。つぎに、太陽系の惑星(天王星、小惑星のセレスなど、海王星、めい王星)の発見の歴史を追う。
つぎに彗星の起源を探る。太陽を中心にして、10万〜100万AU(天文単位)あたりを球殻状に取り巻くオールト雲の存在が予想され、これが長周期彗星を供給しているだろうということが述べられる。
短周期彗星については、エッジワースやカイパーがめい王星の軌道の外側にベルト状(黄道面上)に氷小天体が存在していて、それが供給源ではないかと考えられるようになってきた。
最近、このエッジス・カイパーベルト天体(EKBO)が続々と発見されている(軌道が決まったものだけでも数百個)。中には衛星を持つ比較的大型のものも発見されている。いずれも遠く小さいので詳しいことはあまりわかっていないが(見つけることからが大変)、原始太陽系星雲のころの状態を保存しているものもあるようである。また、軌道も海王星との共鳴関係にあるものが多いという。めい王星も客観的にはEKBOの一員である。
2004年3月に直径1,600kmのEKBOが発見されている。これは月(φ3500km)、めい王星(φ2300kkm)、小惑星最大のセレス(φ1820km)よりも小さいので惑星とは言い難い。だが、今後の探索により第十番惑星が発見されるかもしれない。
2004年6月記