スノーボール・アース

スノーボール・アース ガブリエル・ウォーカー 川上紳一監修 度会圭子訳
早川書房 ISBN4-15-208550-9 1,900円 2004年2月

目次
プロローグ
第1章 最初の生命らしきもの −生命40億年の歴史と氷の地球
第2章 北極 −異端児ポール・ホフマンの出発
第3章 始まり −先駆者たちの業績
第4章 磁場は語る −仮説が誕生したとき
第5章 ユーリカ! −才能ある研究者たちの共同作業
第6章 伝導 −論争は始まった
第7章 地球の裏側 −オーストラリアで見えてきたもの
第8章 凍結論争 −加熱する議論を超えて
第9章 天地創造 −カンブリア紀の大爆発へ
第10章 やがてまた
エピローグ
解説 “スノーボール・アース”の現在 川上紳一
スノーボール・アースをよく知るための参考文献

 7億5千年前から5億9千万年前くらいの間、地球は断続的にスノーボール状態になったという。最近では20億年前にもこのようなことが起こったともいわれている。

 この本は、そのスノーボール・アース説をめぐる科学者群像に焦点を当てている。カリスマ性を持っているらしいホフマン教授と彼と対立する科学者たちの人物像は浮かび上がる。だが肝心のスノーボール・アース説の説明は断片的でわかりにくい。もう少し、スノーボール・アース説とその証拠、あるいは逆に反証も丁寧に説明してほしい。

 最近では、こうしたスノーボール・アース状態が、生物の大進化(カンブリア大爆発)の引き金になったのではないかという説も出ている。

 細かい点で翻訳上(?)の問題、p.221「現在では、地球大気中に含まれる二酸化炭素は5%未満と、ごくわずかである。」は2桁違って、「0..04%未満」としなくてはならない。もう一つ、p.209「メタン水和物」は間違いではないだろうが、「メタンハイドレード」の方がいいだろう。あと、「氷が解ける」も気になる漢字の使い方。「解ける」では問題が解けるという意味、せいぜい「溶ける」、本当は「融ける」がいい。むりして漢字でなく「とける」でもいいと思う。

2004年4月記

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