驚異の耳を持つイルカ 森満保善 岩波科学ライブラリ95
ISBN4-00-006595-5 1,100円 2004年1月
目次
はじめに
1 イルカが不思議な耳を持つ理由
2 耳で餌を捕るイルカ エコーロケーション
3 驚異の耳の作り 耳は頭についていない
4 イルカの鳴き声と餌捕りようの探査音
5 イルカの耳は下顎にある
6 集団上陸イルカは耳が聞こえない
あとがき
筆者は耳鼻咽喉科の医者で、たまたま集団上陸したイルカに興味を持ち、イルカの耳の研究を始めた。
水中で超音波を使いエコーロケーションをするイルカの素晴らしい耳の秘密を明らかにする。しかし、その耳の構造が寄生虫の侵入を許し、聴神経をやられたイルカが集団上陸をするのではないかという仮説を提出する。
もちろん、集団上陸についてはまだ定説はない。集団上陸しないイルカの耳にも寄生虫がいることはわかっている。集団上陸の原因については、まだ検討が必要であろう。
あと、イルカの可愛いしぐさである首振りは、音の定位をとるための動作であることも解説している。
他にこの本では、イルカの耳はふつうのほ乳類の耳が進化して水中に適応したものではなく、胎児段階の途中で発達がとまったものであるという説も出している。
ただ、水中50mも潜ると太陽の光は届かないとか、100mも潜ると真っ暗というのは勇み足であろう。
2004年7月記