ハーメルンの笛吹を追え! ビル・リチャードソン 代田亜香子訳 白水社
ISBN4-560-04780-4 1,600円 2004年4月
目次
伝説
第1部 むかしむかし
第2部 帰ってきた笛吹き
第3部 ディープ・ドリーマー
第4部 なわとびするドラゴン
第5部 笛吹のための演奏
第6部 めざめ
訳者あとがき
〔あらすじ〕
笛吹に連れ去られた姉や子供たちを救いに出た少女ペネロピーの話。
彼女は11歳の誕生日直前、突然耳が聞こえなくなる。そのために笛吹に連れ去られずにすんだ。101歳の彼女は90年前の思い出を書き残すために書き始める。
市長の嘘に怒った笛吹は、子供たちをどこかに連れ去る。ハープ弾きかつハープ製作者の子供であったペネロピーの姉も連れ去られてしまう。耳の聞こえないペネロピーと、盲目の少年アロウェイ(ペネロピーの父が引き取った孤児)だけが残る。
森に住む占い師カスバートによって、ディープ・ドリーマーとしての才能を認められたペネロピーは姉たちを救うため、夢の世界に入り込む。お供は猫のスカリー。
ついたところは翼を持ち、きれいな歌声で会話を交わすトロラヴィアンの国。朝刊はカスバートの知り合いだった。そこで、笛吹の生い立ちをきく。悪い魔術師となった兄(笛吹)を、弟の魔術師(じつはカスバート)が策略で夢の世界に追いやったのだった。カスバートも鏡の中で姿を現す。
兵卒ベルによって国境にまで連れて行ってもらうが、そこで雪崩に巻き込まれる。運ばれてきたのはドラゴンの国。縄跳び合戦でペネロピーに負けたドラゴンの男の子クェンティンも一緒に笛吹を探すことになる。クェンティンは植物を意のままに動かす才能があった。みんなで笛吹のすむ島を見つける。
ドラゴンの皮をまとい、旅芸人一座としてその中に潜り込むことにする。アロウェイとイヌのカスバートの犬ユリシーズも夢の世界にやってくる。笛吹によってネズミに姿を変えられた子供たちと、歌わせ結婚するために一人だけ人間の姿のままの姉ソフィーがいた。アロウェイのハープでソフィーが歌う。アロウェイは何かに利用するためにネズミにされてしまう。
残りはソフィーと一緒に檻に閉じこめられてしまう。ペネロピーはアロウェイがネズミに変えられた呪文を自分にかけてネズミに変身して檻を抜け出す。すぐに自分が自分であることを忘れそうになる。目覚めの国の国境でようやく人間に戻る。そこには、怪鳥ハーピーがいた。ハーピーに襲われそうになる。そこに金属の檻をようやく曲げることがクェンティンによって檻から出たベルが助けに駆けつける。
ベルもハーピーに破れ、ペネロピーを頬を裂かれる。そこにユリシーズが到着してハーピーを倒す。鏡の中に現れたカスバートの勇気づけられてみんなはめざめの国にジャンプ。
森の中の寝ている笛吹がいる小屋を目指す。木を自由に変形できるクェンティンの助けを借りて。森の中では子供たちを使って笛吹が森を切り開こうとしていた。ペネロピーはユリシーズが見つけた秘密のトンネルを通って小屋の中に。他は笛吹や子供立ち退きをそらすための陽動作戦。小屋の中では笛吹を眠らせていたハープが止まりそうだった。そこに外にいた笛吹が小屋に戻ってペネロピーを捕まえてしまう。最後の願いの縄跳びをしながら鏡の中のカスバートを呼ぶ。死んでしまったがまだ旅立っていないカスバートが鏡から出てくる。
ペネロピーが最初につくったハープを鳴らすと、笛吹はまた深い眠りについた。みんなはそれぞれもとのところに戻る。
101歳のペネロピーは、わざと頬に残した傷をからかう悪ガキメロンに悩まされていた。そのペネロピーのもとにハープを求めてミカが何度かたずねてくるようになる。ミカは娘の11歳の誕生のお祝いにハープを送ろうとしていたのだ。ペネロピーは2番目につくったハープ(アロウェイという名を付けた)をあげることにする。ドラゴンの皮でつくったケースと自分の冒険の話を付けて。その娘もペネロピーという名だった。そしてそのペネロピーも101歳となった。
〔感想〕
楽しいファンタジー。101歳のペネロピーが自分の物語を書いている間、ハープを求めにミカが何回がたずねてきて、最後にその子ペネロピーの話になるという入れ子構造。
2004年4月記