江戸の旅文化 神崎宣武 岩波新書新赤884
ISBN4-00-430884 780円 2004年3月
目次
前口上
1章 伊勢参宮のにぎわい
2章 旅を広めた社会の構造
3章 湯治という旅
後口上
参考文献
江戸自体の庶民は貧しく虐げられてたという史観に挑戦する。本音と建て前があり、本音では貧しくても、それなりに生活を楽しめたというのが筆者の考えである。とくに伊勢参宮へ出かけた大量の人、しかも人×日数で考えると、現在のそれよりも多い可能性があることを示唆する。年間数十万人が50日間もかけて旅をしていたわけだ。現在海外に観光旅行する人は年間役1千万人×7日だから。
あと、本当は「入鉄砲に出女」で厳しく旅行が制限されていたはずの女性も、(抜け道を使って)結構旅をしていたことも明らかにする。伊勢の御師たちの観光業者につながる活動(おかげ参りも彼らの宣伝活動の結果という説も紹介)も解説する。
講の代表として、寺社参拝を建て前に旅行するので、講の仲間に「お土産」を持ってこなくてはならなかったことも。
2004年5月記