地球が丸いってほんとうですか? 測地学者に50の質問
日本測地学会監修 大久保修平編著
朝日新聞社 ISBN4-02-259852-2 1,200円 2004年5月
そもそも「測地学」ってなんでしょうか? 地球が丸いってほんとうですか? 地球の大きさはどうやって測ったのですか? メートル法のそもそも 地球はつぶれている?! 縦長?横長? 世界一、高い山は… 2点を結ぶ最短距離は? 船が山に上る? 海面の凹凸はなぜできる? 人工衛星で海面の起伏を測る ロケット打ち上げ基地の謎 重力は場所によって変わる? 重力、いまと昔 経度を制するものは7つの海を制す 経度と緯度の目盛「座標系」 三角点と水準点 三角測量・三辺測量・トラバース測量 水準測量 高さ0の位置ってどこなのですか? 新しい高さ「楕円体高」 不思議な地図 GPSはどうやって地上の位置を決めているのですか? GPSで地殻変動を調べる ハワイがだんだん近づいてくる? 人工衛星に向かってレーザービームを射て… 地震の縞模様 偵察衛星はどうやって情報収集をするのですか? 人工衛星で地球の重力を調べる 宇宙から観測するさまざまな方法 月の測地学 海底地形を探る 海底の地殻変動を調べる 地震時地殻変動 ゆっくり地震 雪の重みで大地が凹む? 重い重力を浮力で支える 流れる固体 検潮所と験潮場と験潮所、どれがホント? 陸地にも満ち潮と引き潮がある?! 地球の自転軸のふらつき 明治の日本から発信された測地学の成果 地球の自転はいつか止まってしまうのでしょうか? 測地学も天気予報に役に立つんだって?! 日本では、磁石の北は西向き下向き 測地学者は南極でなにをしているのですか? 海面はほんとうに上昇しているのですか? 時間と空間 測地学・天文学と法律 女性にも好かれる測地学へ
あとがき
参考文献
地味であまりなじみがないし、一般向けの解説書も少ない測地学に、待望の書が出た感じである。測地学が扱う内容、新しい成果などが簡単に説明されている。当たり前のようにして使われているGPSも、すごい技術であることもわかる。ただ、この本の説明でも「ジオイド」の概念は難しいかもしれない。
トリビアとしては、山の高さもふつう使われている海抜高度(ジオイド面からの高さ)の他、地球中心からの距離という考え方もあり、そうするとヒマラヤは32位、日本最高は沖ノ鳥島になってしまうという。他に、検潮所(気象庁が津波・高波を測定する施設)と験潮場(国土地理院がジオイドを決めるための使節)と験潮所(海上保安庁が水路を確保するために潮位を測定する施設)の違いもある。
しいて疑問点をあげれば、日本の積雪地方での被害地震が雪が融ける春から夏に多い(冬は雪の重しが効いている)という説の数量的な根拠が示されていないこと、潮の満ち引きの原因のメインが太陽にあるように思われてしまうこと(ほんとうは約2.4倍月にある)、地球の自転が遠い将来には止まるだろうということ(ほんとうは月につねに同じ面を向けるようになって安定するだろう、そのときの自転周期は60日くらい?)がある。
2004年5月記