宇宙を支配する暗黒のエネルギー 千葉剛 岩波科学ライブラリー91
ISBN4-00-006591-2 1,100円 2003年3月
目次
プロローグ
第1章 宇宙のダークエネルギー
第2章 甦るアインシュタインの宇宙項
第3章 人間原理と宇宙原理
第4章 宇宙の未来と生命の未来
終章 20世紀の暗雲
膨張している宇宙は、その膨張を加速しているらしいということがわかってきた。その原因はまだわからないので、「暗黒のエネルギー」(アインシュタインの宇宙方程式の宇宙項)というわけだ。
どうもわれわれの宇宙は「平坦」(閉じた宇宙や開いた宇宙ではなく)らしいということもわかってきた。「
人間原理についても言及している。われわれの宇宙はあまりにも生命発生にとって都合がいい(万有引力定数や電荷などの物理定数が)、つまりわれわれは特別な存在だというのが人間原理である。一方、コペルニクス以来の宇宙原理は、われわれは宇宙の中では特別な存在ではないというものである。あの、ホーキングは若いころは人間原理に懐疑的であったのに、最近は好意的らしい。
宇宙項があると、宇宙は最終的には10-30Kになり、それは1兆年後のことだという。人類の寿命は、コペルニクス原理にたつと27万年から80万年(確率50%)だそうだ。
19世紀終わりの物理学が「エーテル」や「気体の比熱比」で悩んだように、20世紀終わりの物理学は「暗黒のエネルギー」や「暗黒物質(ダークマター)」で悩んでいるという。こうしたことが解決されるということは、すなわち物理学が大発展するということなのだろうか。
2003年4月記