帝都東京・隠された地下網の秘密

帝都東京・隠された地下網の秘密 秋葉俊 洋泉社
2002年12月 ISBN4-89691-680-8 1,900円

目次
序 七つの謎
第1章 入れ換えられた線路
第2章 一等不採用
第3章 知らぜらる東京の地下
第4章 地下は新宿を向いていた
第5章 200ヤード
第6章 戦前、ここにも地下鉄が走っていた
第7章 帝都復興
第8章 東京の地下にはもう一つの東京がある
あとがき
【参考文献】

 すでに戦前から、東京には大地下網があったというのが著者の主張である。政府や都・営団が隠しているというのだ。しかし、その根拠となる文献の扱いは恣意的である。また証言者(もちろん現在の政府や都・営団の人、それも非常に多い人、また、それほど中枢にいるとは思えない人)がそれについていわないのはきわめて重大な秘密事項だからといっているが、たんに知らないだけみたいである。隠す必然性も述べられていない。もちろん、部分的に掘られたトンネル(防空壕?)はあるだろうが、地下網とはいえないのではないか。

 全体に、地下網はあるという確信から見ているので、客観的ではない。仮説、思い、検証(それも上に書いたような恣意的なもの)が入り乱れて、客観的な説得力に乏しいというのが私の感想である。そのこと自体は、著者自身も112ページで「あまりに多くの仮説を提示したことで、表現の甘いところを突かれるかもしれない。」と述べているが。

2003年1月記

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