新選組 松浦玲 岩波新書
ISBN4-00-430855-0 740円 2003年9月
目次
はじめに
第1章 新選組誕生
1.母体は浪士組
2.残留壬生浪士
3.将軍東帰後も残留
4.8.18政変と新選組
第2章 池田屋事件前後
1.将軍再上洛と新選組
2.池田屋事件
3.禁門の戦争と下関戦争
4.近藤勇の東下
第3章 長州征伐にこだわる新選組
1.「尽忠報国」再検討
2.西本願寺の新屯所
3.近藤勇の広島行き
第4章 京都での大詰め
1.伊東甲子郎派の分離
2.新選組の全員が幕臣に
3.高台寺党壊滅作戦の意味
4.二条城と伏見奉行所
5.鳥羽伏見戦争
第5章 戊辰戦争と新選組
1.甲陽鎮撫隊
2.近藤勇の最期
3.会津と仙台
4.函館
5.長く生きた人々
「結」新選組とは何だったのか
注
あとがき
新選組略年表
索引
なぜか一周遅れのトップランナーに気を惹かれる。おまけに、新選組の地元は私が育った、そしていまも住んでいる東京三多摩地区である。「尽忠報国」(攘夷)という思想集団が、だんだん規律のみで統率する武闘集団に変質する。こうして全体の流れを近藤勇を中心に追っていく。
とはいっても、京都の治安維持という本人達の意向には沿わない仕事しか与えられない。もう、幕府には薩長などを抑える力=本格的な戦闘を行う力は無い。つまり、新選組が望むような長州との本格的戦争をする気はない。いかに撤退するかという時代になっている。その時代の流れがわからず、右往左往する新選組。大政奉還後、京都を撤退しても、甲州での一戦、さらには会津、函館と転戦する。最期の函館には浪士組以来のメンバーは土方のみ、でも新選組としての組織は維持されていた。
大きく見れば、時代錯誤の漫画的な集団だ。しかも彼らは生え抜きの武士ではなく、農民上がり。もう旗本にはこうした気概のあるメンバーはいない。ある程度先を見ることのできた勝海舟、榎本武揚みたいにも立ち回れない。だが、こうした土壌が明治政府に抵抗する、自由民権の三多摩壮士を生んでいくのだろう。
以前、水木しげるの「新選組」だったか、「近藤勇」だったか、マンガを持っていた。水木しげるも三多摩に住んでいるので、なじみが深いのだろう。おもしろいマンガだったが、引っ越しなどのどさくさで失ってしまった。いまとなるとちょっと残念。
2003年10月記
上記のマンガは「劇画 近藤勇 星をつかみそこねた男」というもので、ちくま文庫に入っていたものを購入した。
2006年4月追記