戦争遺跡から学ぶ 戦争遺跡保存全国ネットワーク編 岩波ジュニア新書436
ISBN4-00-500436-9 820円 2003年6月
目次
プロローグ
I いま、戦争遺跡が語りかける
II きみの街にも戦争遺跡がある
III 戦争遺跡を訪ねる
1 地下壕は語りかける
2 沖縄戦と民衆
3 秘密に進められた兵器開発
4 原爆と空襲
5 街にある軍施設
6 要塞はいま
7 掩体壕・飛行場・特攻基地
8 軍生産工場跡
9 戦争遺跡としての神社・墓地・碑
10 全国の戦争遺跡
IV 戦争遺跡の学び方
エピローグ 「戦争の世紀」を繰り返さないために
付録
平和博物館・資料館ガイド
戦争遺跡の調査研究のためのネットワーク
戦争遺跡を学ぶための参考書
近代日本の戦争史年表
西暦・和暦対照表
すぐわかる戦争用語集
執筆者一覧
高校生たちに呼びかけている本だと思う。しかし、この本の筆者たちのように楽観的にはなれない。自衛隊(軍隊)の海外派遣もなし崩し的に拡大している。そして、政府は「イラク復興支援特措法」のような「時限立法」ではなく、「恒久法」の検討にも入っている。しかし、こうした現状に抵抗する勢力はあまりに微力だと思う。この本に取り上げられているような高校生は極少数派だろう。また、こうした活動自身を学校側が抑えているところも多いのではないか。「平和」と口にするだけで弾圧を受ける時代が迫っている気がする。
4年ほど前、この本でも取り上げられている沖縄南部の戦跡を回ったことがある(高2学年旅行の下見と引率)。本番では、もと「白梅部隊」(沖縄第2高女)の方に案内していただいた。正直な感想は、こうした人たちの間でも感情の対立・しこりが今なお強く残っているなあというものであった。具体的には「ひめゆり部隊」(沖縄第1高女)に対する反発である。ひめゆり部隊だけがクローズアップされている現状があるので、やむを得ない感情だと思うが。そして、この本にも出ているガラビ・ガマの見学の際、ここを取り仕切っている団体に属していないと思われる彼女と、他の案内者の間でトラブルになった。生徒にはかえっていい教育になったと思うが、どこまでわかったか。
私が住んでいた(いる)町にも20年前までは戦跡があった(下写真)。駅前のスーパーマーケットの駐輪場として使われていたスペースの横の古ぼけた木造の建物である。文字はよく見えないが、「防空器材置場」だと思う。写真の日付を見ると、1983年5月1日になっている。戦後38年間は残っていたことになる。曖昧な記憶だが(その後一時この街を離れたので)、たしかこのあとほどなくして取り壊されてしまったと思う。
そういえば子供のころよく遊んでいた小金井公園にも、爆弾が落ちてできた(といわれていた)穴があったが、いまはどうなっているのだろう。皇太子(昭和天皇)が疎開していた(疎開する予定だった?)ので狙われたという話を聞いたことがある。
「日本の戦争遺跡」も参照。
こんな古ぼけた建物。中に何が入っている(いた)のだろう。 | 建物のドアにはこんな文字。「防空器材置場」? |
2003年7月記