三葉虫の謎 リチャード・フォーティ 垂水雄二訳 早川書房
ISBN4-15-208444-8 2,400円 2002年9月
はじめに
1章 発見 三葉虫との遭遇
2章 殻 4億年前のタイムカプセル
3章 脚 輝石の化石が浮かび上がらせた実像
4章 結晶の目 常識をくつがえす高度の視角
5章 爆発する三葉虫 生物の多様性をめぐる大騒動
6章 博物館 化石研究の舞台裏
7章 生死にかかわる問題 断続平衡説と悲劇の古生物学者
8章 ありうべき世界 三葉虫が教える太古の地球
9章 時間 科学における時間の意味
10章 見るための眼 科学者のイメージ
謝辞
原注
訳者あとがき
もっと知りたい人のための読書案内
人名索引
1冊丸ごと三葉虫。だれでも知っているが、じつはあまり知られていない古生物である。あのゴジラ(ティラノザウルスがモデル?、そうだとすると中生代末の動物、彼らが滅んでまだ6500万年)の第1作でも、三葉虫(こちらは古生代前期が最盛期(4億年前くらい)、ティラノザウルスとの時代の差は3億年以上)が登場していた。
この本では、三葉虫の目は方解石の結晶を利用していたという驚くべき事実が明らかにされる。また、日本でも人気があるグールドの断続平衡説に対する批判も展開している。だが、残念ながら文章は平易でない。というよりは不必要な修辞、それより老人の繰り言のように、文章と内容がだらだらと展開する。一応理系の本なのだから、もう少し簡潔・明瞭に展開して欲しい。
ただ、三葉虫の化石の写真は素晴らしい。著者は子供時代は三葉虫オタクで、そのまま古生物学者になったようである。
三葉虫の生き残りともいうべき「カブトガニ」については、「カブトガニの不思議」(関口晃一、岩波新書(新赤192)、1991年、ISBN4-00-430192-0、580円)参照。
同じ著者の「生命40億年全史」も参照。
2003年2月記 3月追記