三国志と日本人

三国志と日本人 雑喉 潤(ざこう じゅん) 講談社現代新書
ISBN4-16-149637-9 700円 2002年12月

目次
序 父祖父代々の三国志
第1章 日本史編纂と『三国志』
 1 『日本書紀』に落とした影
 2 二人の万葉歌人
第2章 軍記物語の世界
 1 ある空白の時期
 2 『太平記』の出現
第3章 江戸文学と『三国志演義』
 1 湖南文山の翻訳
 2 『八犬伝』の中の『演義』
第4章 明治に起こった「内発」
 1 内藤湖南『諸葛武侯』
 2 「星落秋風五丈原」
第5章 日本版『演義』の誕生
 1 吉川英治『三国志』
 2 「奸雄」曹操の再評価
 3 三国志世界の内面へ
第6章 三国志ブームの到来
 1 『英雄ここにあり』と『秘本三国志』
 2 「読む」から「体験する」時代へ
三国志名場面集
 「桃園結義」「官渡の戦い」「三顧の礼」「長坂城」「赤壁の戦い」「蜀に入る」「関羽の最後」「出師の表」「泣いて馬謖を斬る」「秋風五丈原」
おわりに
関連年表

 三国志演義を愛してやまない、三国志演義マニアである筆者の三国志演義談義。まず、日本書紀から八犬伝までに三国志演義の影響はないかを調べる。水滸伝の焼き直しと見られている八犬伝にも、三国志の影響が強いことを明らかにする。また、明治以降は三国演義の研究と翻案小説を解説する。

 私が読んだ『三国志演義』は平凡社の中国古典文学大系上下(26、27)の立間祥介訳である。初版は昭和43年の1月と3月であるが、手元にあるのは昭和46年7月である。だから、大学時代の半ばころということになる。とてもおもしろかったことを記憶している。そして、何で原典がこんなにおもしろいにに、わざわざ翻案する必要があるのだろうと疑問に思った。その疑問はまだ翻案ものを一つも読んでいないので解決していない。まあ、自分なりの三国志演義解釈を表明したい、で、学者でない作家は自分の作品として、翻案小説を書くということであろうが。

「史記」の人間学

2003年1月記

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