ロビンソン漂流記

ロビンソン漂流記 デフォー 吉田健一  新潮文庫
ISBN4-10-201701-1 514円 昭和26年5月 平成14年6月69刷

 初めて全訳を読んだ。当時の、アフリカや南米先住民族に対する偏見は仕方ない。物語では1659年9月から1687年6月まで孤島で生活することになっている。サバイバルはなかなか具体的。

 フライデーとの邂逅(“人食い人種”に捕まって食べられる寸前に脱出、ロビンソンに救助される、フライデー自身も“人食い人種”)、救出されるにいたった経緯(乗組員に叛乱を起こされて島に置き去りにされそうだった船長と協力して船を奪回)も思い出した。

 ちなみに訳者は吉田茂の息子。いつも昼間から神田本屋街の“ランチョン”でビールを飲んでいたという。さらに、今年の1月に死んだ私の母は、吉田茂が娘のために寄贈したという某病院の病棟に入院していたことがある。のんびりとした雰囲気の病棟だった。その後病院の方針転換があり、その病棟を壊してホスピスを建設することになり、母は転院を余儀なくされた。もちろん、母が入院していたときには、既に吉田茂の娘は亡くなっていた。本とまったく関係ない話だが…。

 このロビンソン・クルーソーのモデルについては、「ロビンソン・クルーソーを探して」参照。

2003年8月記

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