ニッポン人異国漂流記

ニッポン人異国漂流記 小林茂文 小学館
ISBN4-09-626122-X 2,500円 2000年1月

目次
はじめに
第1章 神力丸バタン漂流
第2章 漂流の諸相−督乗丸を中心に−
第3章 漂流民の帰国と海外情報
第4章 読まれていた漂流記
第5章 漂流民の見た異人・異国と日本
第6章 漂流民と「日本」
おわりに 光太夫・万次郎・彦蔵の戦い
あとがき
引用・参考文献および注
江戸時代の漂流例
本書で取り上げた近世漂流船一覧(表音順)

 さまざまな漂流の事例、漂流したときに対応(作法)が載っている。

 漂流の最長は1813年に遭難した督乗丸の1年5か月(484日)、その間に11人死亡、帰国途中で1人死亡、帰国できたのは2名。船頭の重吉のたぐいまれなる精神力で、かろうじて他1名(+1名)の生存者。

 生還までの最長は、1719年に遭難した筒山五兵衛船。鳥島に漂着し、そこでアホウドリに頼った生活をして19年。最初12人だったのが、最後は3人。19年後に漂着した船の乗組員17人とともに、その伝馬船で脱出。

 漂流の三大スター、大黒屋光太夫、ジョン万次郎、彦蔵の帰国後の冷遇。他の漂流船の帰国者たちも’(多くは他国(他藩)に行けない、船乗りを生業としてはいけないなどの制約を科せられた)過酷な余生を送ったようだ。

 ただ、漂流者たちの冷静に異人を見る眼に対し、漂流者たちを見るセンセーショナルなマスコミという図式は現在と同じ。

2003年8月記

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