ジョン万次郎漂流記

ジョン万次郎漂流記 山椒魚 屋根の上のサワン 井伏鱒二 宮田武彦(絵) 偕成社文庫
ISBN4-03-652390-2 700円 1999年11月

目次
山椒魚

屋根の上のサワン
休憩時間
ジョン万次郎漂流記
 1 万次郎ら5名の漁師、浪のまにまに漂うこと
 2 万次郎ら、絶海の孤島に助け船を求めること
 3 万次郎ら、ますます故国を遠ざかること
 4 万次郎、大海に乗り出し捕鯨の快味を満喫すること
 5 伝蔵ら日本入国に失敗し、運つたなくハワイに帰航すること
 6 ジョン万、米国に帰航して、再びホノルルに帰ること
 7 ジョン万ら、首尾よく琉球に漕ぎ寄せて生まれ故郷に帰ること
 8 万次郎、官船に乗り、再びアメリカ大陸に渡ること
 9 万次郎、風雲急を告げる折から雄藩にむかえられ顧問になること

解説(三田村信行)

 ジョン万次郎の遭難(1841年)−漂流(5人)−鳥島での生活−6か月後にアメリカ捕鯨船による救出−アメリカ生活−帰国(1851人までを追うたんたんとした(子供向け)ルポ小説。万次郎は助けた船の船長に気に入られてアメリカに渡り、正規の教育を受ける。残った5人の者たちは、一人は客死、一人はハワイに定住、万次郎と同世代の五右衛門は現地で結婚していたので、彼女を現地を残すことで苦悩する。

 紆余曲折があったが、ジョン万次郎はハワイに残っていた伝蔵、五右衛門とともに、琉球から入国する。入国時の審査も大変。

 万次郎は帰国後一時その英語力を買われるが、日本語の方がおぼつかないこともあり(日本に戻ったときは日本語を忘れていた、また日本語の読み書きができなかった)、結局は時流から取り残されていく。

 万次郎の一時の社会的活躍はわかるが、私生活は? また一緒に帰国した伝蔵、五右衛門、残った寅右衛門や残された五右衛門の妻のその後は?

 

 なお、ほかに目次にあるように山椒魚のような小説、鯉以下の随筆もある。ちなみに、つげ義春はこの山椒魚を漫画化している。

2003年8月記

戻る  home