科学の大発見はなぜ生まれたか−8歳の子供との対話で綴る科学の営み−
ヨセフ・アガシ 立花希一訳 講談社ブルーバックス
ISBN4-06-257395-4 940円 2002年12月
日本の皆さんへ まえがき
第1週
1.月曜日:科学とはそもそも何なのか
2.火曜日:アリスタルコスからコペルニクスへ
3.水曜日:どうして科学者を信じるの?
4.木曜日:ガリレオお手製の望遠鏡
5.金曜日:人工衛星というアイデア
6.土曜日:どこでも重力は同じなの? それとも少し違うの?
7.日曜日:科学と迷信
第2週
8.月曜日:物理学における最も重要な問い
9.火曜日:世界は何か他のものでできているとだれもが思う
10.水曜日:プラトンからデカルトへ
11.木曜日:デカルトの宇宙論
12.金曜日:デカルト的な物理学・すべてのものは他のすべてを押す
13.土曜日:ベーコン、ボイル、そしてとりわけニュートン
14.日曜日:さらにニュートン、そしてちょっぴりアインシュタイン
第3週
15.月曜日:ライプニッツ
16.火曜日:電気の粒子など存在しない
17.水曜日:ニュートンは正しかったの? それともまちがっていたの?
18.木曜日:エーテル理論の混乱
19.金曜日:全世界を相手にして戦っている私はだれなのか?
20.土曜日:磁力線
21.日曜日:ファラデーからアインシュタイン、そして明日
訳者あとがき さらなる読み物 事項さくいん 人名さくいん
科学と宗教はどこが違うのか、科学は信じるの迷信は信じないのはなぜか。こうした問いにまともに答えることは難しい。「定説」を疑うことが許されるのが科学である、と簡単にいえるかもしれない。でも科学の成果のすべてを疑って、全部を個人で検証することは不可能であろう。
そういう意味で、この本は科学とはどのようなものか、そうしてそれぞれの概念がどのように生まれたのかを、8歳の子供との対話という形で、解説している。その対話を通じて、読者はそれぞれの時点での、偉大な科学者の考え方、そしてその矛盾(その時代における限界)を知ることができる。まるで、宮沢賢治の銀河鉄道の夜に出てくる「地理と歴史の辞典」のようだ。
結局、最後まで読めば(途中まででも)、現在の科学(この本では物理に限られるが)の成果は、現時点では信頼に足りるもの、でも、当たり前ながら完全ではないということがわかるようになっている。
先年話題になった、「世界のたね」(アイザック・ニュート、猪苗代英徳訳、NHK出版、ISBN4-14-080469-6、2,000円、1999年)は、科学史(科学の成果)を現在の立場から説明したものなので(通常の「地理・歴史の辞典」)で、この本と対称的である。
なお、原著は1968年のものである。そして当時、本当に8歳だった著者の息子との対話がもとになっているという。恐るべき8歳。
2003年1月記