文人暴食

文人暴食 嵐山光三郎 マガジンハウス
2002年9月 ISBN4-8387-1390-8 1,800円

目次
小泉八雲 一椀に白魚の泣き声を聞く
坪内逍遙 牛鍋は不良のはじまり
二葉亭四迷 快男児、酒を飲めず
伊藤左千夫 牛乳屋茶人
南方熊楠 山奥の怪人は何を食うか
斎藤緑雨 筆は一本、箸は二本
徳富蘆花 一膳の赤飯
国木田独歩 牛肉か馬鈴薯か
幸徳秋水 獄中で刺身
田山花袋 うどんと蒲団
高浜虚子 ココロザシ俳諧にありおでん食う
柳田国男 うまいもの嫌い
鈴木三重吉 酒を飲んで暴れる『赤い鳥』
尾崎放哉 咳の味
武者小路実篤 公家トルストイ
若山牧水 酒仙歌人の実情
平塚らいてう 元始、女性は実に偏食だった
折口信夫 天ぷら屋になりたかった歌人
荒畑寒村 監獄料理
里見ク あたまのなかに舌
室生犀星 復讐的食卓
久保田万太郎 せつない湯豆腐
宇野浩二 なぜ薔薇を食べたか
佐藤春夫 さんまは苦いか塩っぱいか
獅子文六 死ぬまで食い気
金子光晴 食人鬼の果て
宇野千代 男もまた日常の餌
横光利一 空の弁当箱をかかえて
吉田一穂 月光を飲む暴れん坊
壺井栄 ちゃぶ台文学
稲垣足穂 酒乱・酒魔・毒舌・極貧
草野心平 居酒屋主人
平林たえ子 女賊のにんじん
武田泰淳 トンカツ好きの一家
織田作之助 飢餓恐怖症文学
向田邦子 ライスカレー裏表
寺山修司 砂糖入りカレー
あとがき
参考文献

 目次のとおりの本。俳諧をたしなむ筆者は、歌の解釈にも優れている。歌人に向ける目は温かい。あと、幅広い交友も垣間見ることができる。金子光晴、宇野千代、吉田一穂、稲垣足穂、草野心平、武田泰淳、向田邦子、寺山修司には実際に会っているという。ほかにも、和田勉とか唐十郎も出てくる。平凡社の雑誌「太陽」の編集者(編集長)を勤めていた経験だろうか。読者サービスにも長けている。

 平凡社時代、仕事をさぼって会社近くのウナギ屋で鰻を食べていたら、そばで社長が愛人と鰻を食べていたというようなエッセーを覚えている。どこに書いてあったのかは覚えていない。いつまでも、不良中年というイメージ。

2003年1月記

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