マグマダイナミクスと火山噴火 東京大学地震研究所編
朝倉書店 2003年1月 4,000円 ISBN4-254-16727-X
目次
0 ハワイ、アイスランドの常識への挑戦(鍵山恒臣)
1 火山の構造
1.1 火山の地下構造(中田節也)
1.2 火山の物理構造(鍵山恒臣)
2 マグマ(藤井敏嗣)
3 マグマの上昇と火山噴火の物理(井田喜明)
4 火山活動に伴う各種現象の観測と発生機構
4.1 火山性地震・火山性微動の観測と発生機構(及川純)
4.2 地殻変動・重力変化から推定する火山活動(渡辺秀文)
4.3 熱・電磁気観測から推定される火山活動(鍵山恒臣)
4.4 衛星赤外画像による火山の熱観測
4.5 衛星リモートセンシングによる火山モニタリング
5 噴出物から読みとる噴火(中田節也)
6 歴史史料の中の火山噴火(郡司嘉宣)
7 火山活動の予測
これも、東大地震研創立75周年の記念企画として企画されたシリーズ(地球科学の新展開)の一冊である。他の二冊地球ダイナミクスとトモグラフィー、地殻ダイナミクスと地震発生参照。
火山についてはまだよくわからないことが多い。例えば、2000年夏から始まった三宅島噴火が層である。噴火の形態は大勢の火山学者の予想とは異なったものであった。そしてわれわれはカルデラの形成の現場を見ることになる。
初生マグマがその発生の場所(深さ)により組成が異なることはこれまででもわかっていた。しかし、さらにデイサイトマグマというものも存在し、それが玄武岩マグマと混合することによって安山岩マグマができるらしいということ、そのデイサイトマグマは地殻下部で玄武岩マグマの熱によって地殻が部分溶融してできるものもあるらしいということなどが書かれている。
マグマだまりの様子も少し見えたきたようだ。
過去の史料を読みとる際の注意も出ている。例えばだまされてしまった武者金吉の例とそれを1990年代まで引用していた理科年表(理科年表の火山の表の噴火記録は2000年以降のものが安全)。
2003年3月記