最新・北朝鮮データブック 重村智計 講談社現代新書
720年 ISBN4-06-149636-0 2002年11月
序章 崩壊か軟着陸 北朝鮮を「理解」するために
1章 日本人拉致と工作国家の真実
2章 先軍政治とは何か 「軍こそ力の源泉」
3章 ポスト金日成時代へ 権力継承の歴史
4章 党と政府 儒教社会主義の限界
5章 主体経済の崩壊 新経済政策は成功するか
6章 北朝鮮国民の生活事情
7章 「振り子外交」と日朝関係のゆくえ
拉致を否定していた和田弘樹東大名誉教授や、岩波書店の故安江良介氏(「TK生」の名での連載があった当時の『世界』編集長、後社長、重村氏は安江氏こそ「TK生」としている)たち、これまで拉致問題を曖昧にしてきたその他政治家への痛烈な批判。
最後の社会主義国というより、戯画的スターリン主義国、あるいは赤い王朝といった方がいい北朝鮮。しかし、現実には甘い情勢分析から一方的に戦争を仕掛けた「朝鮮戦争」があり、現在も核をパワーゲームの材料に使っている危険な体質がある。
この本は、その北朝鮮のおもに政治・軍事のデータを解説している。経済や市民生活の現状についてはあまり詳しくはない。
一時赤い王朝の後継者と見なされていた金正男は、じつはもう何回も何回も日本に入国していて、それは日本の捜査当局もつかんでいた。そして、2001年5月に成田で拘束された事件も、じつは国内で誰に会うかを知るために正男を泳がせたかった捜査当局と、その意図が伝わらなかった入国管理当局の連携不足であっただろうといっている。また、取り調べ時に裸にされる密入国者として正男も写真を撮られたそうだが、その背中には立派な刺青があったという(つまり何回も日本に来ている、また交友関係も想像される)。ただ、こうしたことの情報源は明らかにされていないので、どの程度信用できるかは測りかねる。
2002年12月記