中世奇人列伝
今谷明 草思社 2001年11月
1,600円 ISBN:4-7942-1094-9
法印尊長―幕府に楯突いた院近臣
京極為兼―政治に深入りした歌人
雪村友梅―中国で辛苦した傑僧
広義門院―幕府がひれ伏した女院
願阿弥―室町のマザー=テレサ
足利義稙―流れ公方
史上ただ一人、二度、将軍となった“足利義稙”、幕府に楯突き壮絶な最期を遂げた承久の乱の黒幕“法印尊長”、異郷をさすらい、刑死の憂き目を詩を唱えることで免れた傑僧“雪村友梅”…。日本史上最も魅力的な時代=中世には、幾人もの知られざる才人、奇人が埋もれている。人名事典にさえ載っていないかれらの知られざる業績、型破りな生涯を膨大な史料から徹底的に掘り起こした、著者会心の労作。
上が宣伝文。上にあるように、歌舞伎者的奇人伝ではなく、「人名事典にさえ載っていないかれらの知られざる業績」を伝えたいというのが著者のねらいだろう。題名は変えた方がいいと思う。
興味を持ったのは雪村友梅で、当時は日中の国交がかなり頻繁、かつ遣隋使、遣唐使のころよりは確実な航海ができたようだ。もっとも友梅自身は、前期倭寇の「活躍」で態度を硬化させた元政府により、中国で苦労を重ねたようだが。
2002年9月記