最後の宦官秘聞
ラストエンペラー溥儀に仕えて

最後の宦官 ラストエンペラー溥儀に仕えて
賣英華 林芳訳 NHK出版 2002年8月
2,400円  ISBN4-14-080710-5

自序 孫躍庭(最後の宦官)
プロローグ
第1章 幼き決断
第2章 清朝王府に仕える
第3章 皇太后を京劇団
第4章 紫禁城の日々
第5章 溥儀と皇后婉容
第6章 たそがれの宮廷
第7章 紫禁城を追われて
第8章 宦官たちの末路
第9章 満州国皇帝溥儀の下で
第10章 民国から新中国へ
終章 平穏なる晩年
無言の墓碑
監訳者あとがき
特別寄稿「宦官三千年」(井波律子)

 貧しさから逃れようとみずから浄身(去勢=父親に切除してもらった)して、宦官になった孫躍庭(躍は“火”偏)の話しを賣英華(賣は“西”の下に“貝”)が聞き取り、まとめた本。宦官になった時期が悪く、ちょうど清朝の断末魔の苦しみのときだった。時代に翻弄された愛新覚羅家に、さらに翻弄された孫躍庭。しかし、宮廷の大奥に生活した経験のある筆者の話は興味深い。溥儀や皇后婉容のしらじらしい夫婦生活も赤裸々に。

 上の本とは関係ありませんが、私は溥儀の姪(弟溥傑の長女)慧生の心中事件(1957年)をうっすらと覚えている。

 思うに、毛沢東中国は清朝に次ぐ王朝だった。とくに彼の私生活は皇帝なみだった。制約の大きい生活を送らざるを得なかった溥儀等よりははるかにすごい。みずから秦の始皇帝に次ぐものと思っていた節もある。それどころか秦の始皇帝よりも、側近から末端の人たちまでを物心両面で支配できていたように思う。

 「毛沢東最後の女   京夫子‖著  船山秀夫‖編訳」(中央公論社、1996年12月、2,000円、ISBN:4120026515)参照。

 それにつけても、北朝鮮金王朝はどうなるのだろう。一代目金日成から二代目正日へはまあ継げたとして、三代目正男は無理なような気がする。

2002年11月記

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