飛竜山

 2004年8月12日(木)〜13日(金)、先月、後山林道が閉鎖されていたので断念した飛竜山に行ってきました。

 午後早くに家を出て中央高速で八王子ICを目指したのですが、お盆渋滞です。急遽、一つ手前の国立府中ICで降り、一般道で後山林道を目指します。奥多摩湖も終わりかける多摩川沿いの青梅街道の“お祭り”が林道の入り口です。ここから林道終点までは約10km、歩くと約3時間の道のりです。昔、三条の湯に泊って雲取に登ったときは、林道の入り口に車を置いて歩き、下山は鴨沢に降りてバスで“お祭り”に戻って車をとってきました。今回は車で林道の終点を目指します。多くの林道が舗装さてしまいましたが、ここはまだダートの本格的な林道です。

 林道の一番奥は車の転回場になっていて、そこで車の向きを変えて少し戻ったところにある、つめれば10台程度駐車可能な駐車スペースを利用します。お盆なので駐車スペースは満員かと覚悟してきたのですが、1台止まっているだけ。私のあとで1台、朝起きたらもう1台、合計4台でした。

 4時前についてしまったので、イスを持ち出してビールを飲んだり、本を読んだりしてのんびりと過ごします。だが、だんだん眠気が襲ってきます。まだアイスランド旅行の時差ぼけがとれ切れていないようです。そこで慌てて途中のコンビニで仕入れた夕食食べ、6時半ころには寝てしまいました。早く寝すぎたため、12時前に目が覚めました。あとは、うつらうつらしたり、読み残した本を読んだりして何となく過ごします。

 3時半ころに起きて、荷物の整理や朝食をとります。夏至が過ぎてもう2か月近い。なかなか明るくなってきません。それでも三条の湯まではヘッドランプで問題ないと思い、まだ暗い中を出発しました。林道終点、登山道入り口通過が4時半ころ。途中、道で寝ていた人がいたのでびっくりしました。下山途中で道に迷って夜を過ごしたとのこと。あとちょっと行けば林道だし、少し戻れば三条の湯なのにどうなっているのだろう。だいたい迷うような道でないのだけど。

 三条の湯の小屋通過は5時ころ。まだ明かりがついていません。外では自炊の人が食事の用意をしていました。ここで道は、私が目指す飛竜、サオラ峠、三条の湯裏からは雲取に行く道に分かれます。ようやく明るくなってきたので、ヘッドランプをしまったりします。

 飛竜への道はいきなり急登です。何回か水を得られる沢を通過します。道はだんだん尾根をはずれて山腹を巻くようになると傾斜も緩くなります。雲取からの縦走路との合流点、北天ノタルについたのは7時15分。ここから桟道が連続するようになります。まだ新しいものもあります。「頂上への近道」という小さな指導標があったので、それに従って縦走路からはずれての急坂を登り始めます。踏みあと程度の道ですが、木に目印の赤テープが巻いてあるので迷うおそれはないでしょう。20分程で飛竜山(2,069m)の頂上に着きます。7時50分ころでした。飛竜から東の関東山系にはもうこれ以上高い山はありません。

 標識がなければどこが頂上かわからないほど広い頂上。まわりは全部森なので、展望はききまません。もっともこの日は、晴れてはいるのですが空気の透明度は低く、遠い山はほとんど見えません。記念写真を撮り終わったころ、雲取からやってきたという人が登ってきました。今日、初めて会う人です。

 飛竜権現の石の祠がある縦走路に降ります。8時20分ころでした。頂上からここまではちょっとわかりづらい道です。ここからサオラ(竿裏)峠を目指します。降りる途中から立派に見える前飛竜はどこがピークかよくわからないまま通過。このさきに露岩が露出しているところがあり、ここはかつて岩岳を経て丹波の先に出る道との分岐だったのですが、現在この道は廃道です。9時10分くらいになっていました。ここからはしばらく急降下。我慢して降りていくと次第に傾斜は緩くなります。このへんでこちら側から登ってくる人が二人とすれ違いました。

 熊倉山(火打山、1,624m)は10時5分ころに通過。いろいろなコースの分岐になっているサオラ(竿裏)峠に到着したのは10時40分。ここで昼食をとるため大休止。抜かれたり抜いたりした雲取からの人もやってきました。彼は直接丹波に降りるそうです。私はここから三条の湯を目指します。

 三条の湯への道は黒部の水平歩道のように山腹を延々とほぼ水平に続きます。もちろんあんなに厳しい道ではありません。広葉樹の原生林の中の気持ちのいい道なのですが、このあたりになるとやはり疲れが出てきます。途中で、ワサビ畑のあとがあったり(こんなに山奥、誰が管理していたのだろう)、シカが出てきたりもします。おいしい水が得られる沢も何回か通過します。もう一度つい最近まで使われていたらしいワサビ畑(三条の湯の人が栽培していたのかな)が出てくると、あと少しで三条の湯です。三条の湯に戻ったのは12時40分でした。

 ふだんの平日は15時からのお風呂(温泉ではありません)が、この日は12時から入浴可能だったので、お風呂に入ろうか迷いましたが、入ってしまうと動くのが嫌になるだろうと思い我慢しました。小屋には「氷」の旗も出ていました。氷水もあるらしい。小屋の脇では今時珍しい中学生らしい山岳部員が昼食を調理していました。

 林道の終点、登山道の入り口に戻ったのは13時5分でした。車に戻ったのは13時20分ころ、ほぼ9時間の行程でした。駐車スペースは満員になっていて、ほかにも道路が少し広くなったところを利用してたくさんの車が止まっていました。飛竜では人にほとんど会わなかったので、やはり多くの人は雲取に向かったのでしょう。

 飛竜は東京の山(ほんとうは山梨の山)にもかかわらず、車が通る道から遠いし、おまけに森林に覆われているせいもあり車の音がまったく聞こえてきません。展望はあまり期待できませんが、そういう意味でいい山だと思います。

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朝の三条の湯。 北天ノタル途中の水場。 縦走路との合流地点、北天ノタル。あろうことか裏にはゴミがたくさん。 場違いといってもいいほどの立派な桟道が連続。中にはこんなに新しいものも。歩きやすい。 飛竜山頂上での記念写真。
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前飛竜が立派に見える。 この露岩からサオラ峠を目指して急降下。 指導標も忙しい、サオラ峠。 広葉樹の中の気持ちのいい道。 再び三条の湯が見えてきた。ゴールも近い。

2004年8月記

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