ブラジルとギアナ高地(8月27日)

ボア・ビスタからサンタ・エレナへ(グラン・サバンナ、ロライマ、ハスペの谷)

 この日は国道174号線(アラスカからパタゴニアまでをつなぐパン・アメリカン・ハイウェイの一部)を北上して、ベネズエラのサンタ・エレナに向かいます。朝食の前、ホテル内無線LANのネットにつないでみましたが、とても遅く、1時間ほどつないでもメール・チェックが終わりませんでした。

 初め草原(湿原)だった周りは、だんだんと山岳地帯に変わります。ブラジル−ベネズエラの国境は標高1200mのパカライマ山山頂にあります。11時ころ、出国、入国手続きをして、4WD車に乗り換えます。さすがに石油を産するベネズエラ、国境の事務所もきれいでした。

 ペトイキャンプに向かう途中、現地ガイドさんが悪天候で2週間ダメだったロライマ山へのヘリ飛行が今日ならできそうだ、ということで急遽明日に予定されていたヘリに乗ることになりました。1機200ドルを、搭乗者数で割った値が費用になります。実際に飛んでしまったら、悪天候でロライマに着陸できない、あるいは見えなくてもお金は戻らないということでした。希望者を募ったところ、10名のツアー参加者のうち8名が搭乗希望、つまり1名50ドル(5万円弱)ということになります(実際は少しおまけしてもらいました)。

 ホテルに向かう途中から、ロストワールド(失われた世界)のロライマとクケナンが見えてきます。ロライマはこのあたりのテーブルマウンテンの最高峰(ギアナ高地のテーブルマウンテンの最高峰はネブリナ3014m)、標高2810mあり、その頂上部の周りは1000mほどの断崖になっています。その周りはグランサバンナと呼ばれる平原(ジャングル・草原)になっています。テーブルマウンテンを構成する岩石は20億年前のものといわれ、硬い岩石の部分が侵食から残り、テーブルマウンテンになったようです。少なくとも数億年前から断崖に取り囲まれた頂上部は孤立したため、独自の生態系となっています。残念ながら、孤立したのが早すぎたため、つまりまだ恐竜が登場する以前から孤立してしまったため、コナン・ドイルのロストワールドのように恐竜(は虫類)が残っている可能性はないのです。両生類のカエル、それも原始的なカエルはいます。6億年前のゴンドワナ時代からの大陸の集合離散時(ゴンドワナ大陸の分裂移動→パンゲア大陸の形成→パンゲア大陸の分裂移動→現在)の回転軸に当たり(球面状の大陸(プレート)の移動は地球の中心を通る軸のまわりの回転運動となるというオイラーの定理)、ほとんど移動しない安定な状態を保ってきたため、この不思議な地形が生まれたという説明がなされますが、十分な説明にはなっていないと思います。つまり、安定な状態を保ったことと、あのような地形になったことの因果関係はまだよくわかっていないという方がいいのではないでしょうか。

 サンタ・エレナの町外れの高台にある小さく可愛いペトイキャンプ(プチ・ホテル)に11時には11時半頃に着きました。希望者の抽選。1機目の操縦席隣が私の席になりました。ホテルからはロライマと隣のクケナンが見えています。見事なテーブル状の形です。早く飛びたい。

 しばらく待った12時15分、待望のヘリがホテルに迎えに来ました。天候が刻々と変わり、ロライマ、クケナンが見えません。飛行中も雨が降ってきたり、かろうじて見えるロライマ・クケナンはガスに覆われていたりしていて、とても不安でした。ただ、ヘリコプターには初めて乗りましたが、揺れもなく、エンジン音も大きいですが想像していたほどひどくはなく、何よりも視界が広いのでとても快適でした。乗っているとゆっくりと飛んでいる感じですが、地上で見ているとあっという間に遠ざかっていきます。

 ロライマに近づいても状況は好転せず、ガスの合間からかろうじて見えたり見えなかったり。でも、ヘリはぶつかってしまうのではないかと思われるくらいに岩壁に接近するので、大迫力の飛行です。何回か旋回しているうち、ようやくガスが切れました。着陸です。着陸地はボリバルの像(三国境ではないほう)があるところでした。大感激。

 しばらく頂上を散策します。記念写真、風景、花の写真などを撮ったりしました。頂上に滞在できたのは15分ほど。感激しすぎて、冷静になれませんでした。

 ガスってきたの離陸です。帰りは後部座席。名残惜しいロライマを見ながらホテルに戻りました。1時間半ほどのフライトでした。

 近くのレストランで遅い昼食をとります。カフェテリア方式、好きなものをとってレジで重さを量って料金支払うシステムです(実際の支払いは旅行社側がしてくれます)。

 この日の2回目の飛行は、スコールが予想されるということで、明日の朝に延期になりました。

 15時50分、ほかのメンバーと合流してハスペの谷に向かいます。予想通り、途中で猛烈なスコールとなりました。ハスペの谷は赤い碧玉(ジャスパー)と呼ばれる1枚岩でできています。現地ガイドさんの指示に従い、滑らないように靴下になって遊びます。水着になった方が楽しめます。

 ジャスパーは基本は石英(SiO2、硬度も7で石英と同じ)ですが、不純物によっていろいろな色がつきます。きれいなものは宝石になります。ここはその巨大な1枚岩。もちろん国立公園内なので採集はできません。

 帰りの途中、少し高いところに登って、あたりの風景を楽しみながらビールで乾杯。体を濡らした後なので少し寒い。

 夕食には添乗員さん心づくしのそうめんが出ました。あっさりとしておいしい。

 この日のヘリ飛行は、途中で着陸は無理か、でもこれだけ岩壁に近づけただけでもうれしいと思っていたのに、思いもかけず着陸できて感激でした。なお、ロライマの写真は Picasoweb にもアップしました。

写真はクリックすると拡大します。戻るときはブラウザの“戻る”ボタンをご利用ください。

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ホテルのプールです。 ホテルの朝食です。 休憩に立ち寄ったカフェ。鞭遊びも。地面をたたいて大きな音を出そうとしても、うまくいきませんでした。 車ひたすら走ります。 このあたりで暮らしているマクシ族の家です。大きな集会所はこちら
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ホテルから見るロライマ(右)とクケナン(左)。拡大はこちら ヘリが迎えに来ました。 飛び立ちました。 あの辺はスコールになっています。 ロライマ頂上は雲に覆われています。
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ガスの切れ目から、岩壁にかかる大きな滝(ロライマ滝?)が見えます。 ヘリは岩壁すれすれに飛行します。 平らな頂上部、岩の隙間からわき出して滝になって落ちる水。 頂上の奇岩群と平行に走る溝。 奇岩群。
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山から少し離れて、ガスの状況を判断するパイロット。 なかなか状況はよくなりません。 ヘリは何回も旋回して、チャンスを待ちます。 目標(ボリバル像)が見えました。いよいよ着陸です。 何という花でしょうか。
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平らな頂上と奇岩。奇岩群のアップはこちら 川が流れる溝もあります。 こちらも可憐な花。 またガスってきました。 離陸しました。ロライマの頂上部です。
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ロライマとお別れです。 またガスってしまったロライマ。 蛇行しながら流れる川。見事な三日月湖はこちら ホテルに戻ってきました。 昼食です。
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ハスペの谷の入り口。このあたりの先住民ペモン族が管理しています。 赤い碧玉(ジャスパー)の1枚岩でできたハスペの谷。滝に打たれて遊びます。 ずぶ濡れになりながらも、滝の裏側に入ってみました。 ロライマとクケナン。 夕食に出たそうめんです。

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