アイスランド(8月2日)

 天気は相変わらずぐずつき気味。

 最初は1783年に巨大噴火したラカギ・ガル(ラキ火山)の溶岩流(ンケの溶岩台地)を横切る。同じ年に噴火した浅間の鬼押し出し溶岩流はまだ溶岩がむき出しだが、こちらはすでに分厚いコケに覆われている。このラガキガルの噴火は地球全体の気候に変動を及ぼした可能性があるくらい巨大で、溶岩の噴出量は12km3と推定されており、同じ年の浅間山の0.17km3のじつに70倍の量である。それ以上に、このときに噴出した火山灰・火山ガス(二酸化イオウ)のため、農耕・牧畜に壊滅的な打撃を与え多くの餓死者を出した。この災害を経緯にアメリカに移住した人も多く出た。いま、アメリカから自分のルーツを求めて、移民の子孫が多くたずねているらしい。アイスランドには姓がなく、「誰々の息子(娘)」というように名を付けていくので、ルーツをたどるのは比較的簡単らしい。

 羊毛の集積地であるヴィークで休憩。ここにはウール工場と直営店もある。直営店で思わず予定外であるヴァージン・ウールのセーターを買ってしまう。こんなに暖かいセーターは、冬が暖かいとあまり着る機会はないのだが。

 立派なスコガフォスを見学。滝上に出る途中には花(日本では高山植物)がたくさんある。降りて滝壺に近づくと、落下する水が起こす風の圧力がすごい。

 ついで、滝を裏側を通り抜けることができるセリャランスフォスの滝を見学。かなり大きな滝だが、裏側を通過することができておもしろい。このような裏見の滝は日本にもいくつかあり、伊豆にある萬城の滝では滝の裏を通り抜けたことがあるがこれほど大規模なものではなかった。また、武尊山の麓にあるもの(その名も裏見の滝)は、滝の裏の通路は通行禁止になっている。

 ケリズ火口湖は、本当に道の脇をほんのちょっと登ったところにある。中にたまっている水は、火山性のものではなく雨水らしい。

 かつてはアイスランドの宗教の中心地(司教区が置かれていた)スカゥルホルトのレストランで昼食。隣の教会のキリストは壁に埋め込まれたモザイク。教会隣では遺跡の発掘作業が続いている。

 ゲイシール(間欠泉、日本語の津波がそのまま英語の“tsunami”になったように、アイスランド語のゲイシールもそのまま英語の間欠泉“geyser”になった)を横に見ながら、まずグルトフォス(黄金の滝)。水力発電を行うために、1907年にイギリス資本に買い取られそうになったこの滝は、農民の娘シーグリーズルの必死の活動で景観が守られたという。アイスランドの自然保護活動の原点ともいえる。滝は2段に分かれている。水量が多くて迫力がある。

 滝のあとはゲイシール。ゲイシールの名前の由来となった大きな間欠泉は活動を停止しているが、別なものの活動が活発になり、ほぼ5分間隔で熱湯を噴き上げる。噴き上がる直前にお湯が膨らんできて見ているとおもしろい。

 最後にアイスランド最大の湖シングヴァトラヴァトン湖の脇を通って、シングヴェトリル国立公園のアルマンナ・ギャオを見学する。ここがユーラシアプレートと北米プレートが生産され両側に広がっていく場所である。もちろん“線的”なものではなく、かなり広い幅の領域の中にこうしたギャオが平行して何本を走り、それ全体がプレートの境界となる。アイスランド全体がソウした境界といってもよい。このギャオは幅が10数m、北米側がユーラシア側より数十m高くなっている。思わず小さな割れ目の一つをまたいでしまう。下の写真の左足がユーラシア側(最東端に日本の一部が乗っている)、右側が北米側(これまた日本に一部が乗っている)である。ここで別れたプレートが、何億年後日にまた日本付近で衝突する?

 レイキャビクのホテルに4日ぶりに帰ってきたことになる。ちょっと遅くなったが緯度が高いのでまだ明るい。町に出て少し探検してから夕食(シーフード・ビュッフェ)を取り、ホテルに戻る。ホテルから町の中心部までタクシーで1000Kr(1Kr=1.6円程度)強だった。

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1783年に噴火したラガギ・ガル溶岩による偽クレータ群。 ヴィークのウール工場。 スコガフォスの滝。 滝の落ち口に上る途中で見たウルップソウ。 セリャランスフォスの滝の裏から表を透かしてみる。
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ケリズ火口湖。カルデラの縁にいる人から大きさがわかる。 ゲルトフォス(黄金の滝)の第1段目。 ゲイシール(間欠泉)。噴き上がるときの連続写真はこちら シングヴェトリル国立公園のアルマンナ・ギャオ。右がユーラシア・プレート側、左が北米プレート側。 ギャオの小さな割れ目をまたぐ。写真の右側がユーラシア側。

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