エジプト(12月30日)

この日はアスワン付近の観光です。

  寝ている間に船はアスワンに向け移動を始めていました。アスワンはプトレマイオス期にはシエネと呼ばれた街で、ちょうど北回帰線(北緯23.4°)上にあります。つまり夏至の日の太陽の南中高度が90°になります。このことを知ったアレキサンドリア図書館のエラトステネスは夏至の日のアレキサンドリアの太陽の南中高度が82.8°であることから、アレキサンドリア−シエネ間の緯度差7.2°を求め、隊商(キャラバン)の行程から両市の距離(5000スタジア(1スタジアは185m))を概算して、地球の全周(約46000km、実際の値は40000km)を求めたのでした。

 朝、アスワンに着きました。ジャスミン号はCoral Seaという会社のクルーズ船です。この船の陸側にはいつも同じHenna号が止まっています。この日の朝食(ビッフェ)も、醤油味の魚、海苔巻き、味噌汁付きでした。

 8時半、バスに乗ってアスワン・ハイ・ダムの見学に向け出発です。アスワン・ハイ・ダムはアスワン・ダムの貯水量不足を補うために、冷戦時代の1960年〜1970年にかけた建造された、高さ111m、堰堤の長さ3.6kmの巨大なロック・フィルダム(ダムの建設素材の花こう岩を切り出した跡はこちら)で、農業用水のほか、年間210万kWの電力(エジプトの総発電量の約10%)を供給しています。これによってできたナセル湖は全長480km、平均の幅10km、面積3240km2の巨大な人造湖で、そのためにいろいろな影響を与えたダムです。このダムは警察ではなく、軍が警備していて、ビデオ、また望遠レンズをつけたカメラでの撮影が禁止されています。

 バスは再びアスワン・ダムを渡って、次はフィラエ神殿の見学です。島に渡る途中でアスワン・ダムの堰堤がよく見えました。フィラエ神殿はアスワン・ハイ・ダムの建設によって水没したフィラエ島にあったのですが、いまは近くのアルギニア島に移築されています(ナイル河の水位を測るナイル・メーターも移築されました)。女神イシスための神殿で、プトレマイオス期の紀元前3世紀ころに建てられました。

 島から戻り、ジャスミン号に帰る途中、香水屋さんに寄って香水瓶を作る実演の見学や、香水の試し嗅ぎのあと、両替所にも立ち寄りました。この日の部屋のベッドはタオルのお人形でした。昼食はいつもと同じビッフェスタイルです。きょうはスパゲッティもありました。

 少し休んだあと、ファルーカ(帆掛け船)に乗ってその辺りを周遊します(船頭さんが帆を操る様子はこちら)。さすが回教国です、操船している間も、メッカに向けてお祈りをしている船頭さんもいました。

 ジャスミン号に戻って少し休んだあとデッキに出ると、きれいな夕焼けとなりました。さらにしばらく待つと、昨日と同じように月と金星がきれいに見えてくるようになります。

 20時から始まる船の夕食はいつものようなビッフェスタイル。夕食後の21時半からベリーダンスショーが4階のラウンジで催されました。まず、男性のダンサーがスカートのようなものをはいて、くるくるくるくる回り続けるというものです。映画「ジプシー・キャラバン」では同じようなものがありました。映画では、踊るのは女装した男性で、立て膝で回り続けるということを売りにしていましたが、こちらは立ったままです。最後がベリーダンスです。

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アスワン・ダム(旧ダム)の上から、下流側を見ています。 アスワン・ハイダムの発電所。 ハイ・ダムの全景(バスの車窓から)。後ろにソ連との友好記念の塔が見えます。 堰堤から下流側を見ています。 広大なナセル湖。
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渡し船でアルギニア島に向かいます。 フィラエ神殿(イシス神殿)の塔門。 女神イシス。オシリスの妹で妻でもあります。また天空の神ハヤブサのホルス神の母です。 羊の頭の神が粘土から人間を作り、アンク(生命)を与えています。 ナポレオンのフランス軍が占領したとき、測量も行ったようです。パリとの経度差30°16′22″、北緯24°3′45″(ほぼ北回帰線上)、と読めます。
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イシス神がホルス神に乳を与えて育てています。 セト神によって殺されて隠された夫オシリス神を探すために翼をのばした女神イシスが、オシリス神を助け出し、抱きかかえています。 かつてのフィラエ島の位置に柱が立っています。 香水瓶を作る実演。材料はガラスではなく、パイラックスだそうです。 船の最上階のデッキです。ミニプール、ジャグジーもあります。
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貴族の岩窟墳墓群。左の方に訪問者が見えます。 このようなファカール船(帆掛け船)でのんびりとセーリングしました。 ヌビア族の集落があるエレファンティヌ島に少し上陸してみました。 ナイル河の夕焼け。 ベリーダンスです。

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