第一部−2− 宇宙の科学

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第4章 太陽系(14)
3.太陽系の理論−1−
a.尽数関係
b.チチウス・ボーデの法則
用語と補足説明
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第4章 太陽系(14)

3.太陽系の理論-1-

a.尽数関係

 天体や天体どうしの自転や公転が簡単な整数比になっていることを、尽数関係という。

 簡単なものでは月の自転周期と公転周期の間に見られる、1:1というものから、複雑なものでは地球と金星の会合周期と金星上の1太陽日の5:1というものまである。他にも

 水星の自転:公転=2:3
 木星の公転:土星の公転≒2:5
 海王星の公転:めい王星の公転=2:3
 めい王星の自転・公転:衛星カロンの自転・公転=1:1(いつもお互いに同じ面を向け合っている)

などがある。

 さらに、木星の衛星のイオ、エウロパ、ガニメデの公転周期がそれぞれ1.7691日、3.5512日、7.1545日で、これは1:2:4。土星の衛星にも、タイタンの公転周期15.9554日とハイペリオンの公転周期79.3302日の間の3:4などがある。

 あるは、小惑星のなかには公転周期が木星の公転周期と2:3という位置に存在するものがたくさん見られる(ヒルダ群)。また太陽−木星と正三角形を作る位置(すなわち木星軌道上にあって、木星−太陽と60°離れた位置)にも小惑星がたくさん存在する(トロヤ群)。

 問題が難しいのは、尽数関係にあれば安定かというそうでもないらしい。火星の木星の軌道の間に存在する小惑星の分布には、木星の公転周期と1:2、2:5、1:3の位置には存在していないというカークウッドの間隙がある。土星の環にもカッシーニの間隙があるが、これは衛星ミマスの公転周期と1:2、エンケラダスと1:3、ティテスと1:4になる位置である。

 環の位置によっては、衛星の重力によって維持されているものもある。

 このように、場合によっては安定な関係であり、場合によっては不安定な関係になるようで、その意味についてはよくわかっていない。

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b.チチウス・ボーデの法則

 太陽から惑星の距離に関する「法則」で、惑星間の間隔が2倍ごと増えていくというものである。1766年にドイツの数学者J.ティティウス(1729年〜1799年)が発見し、ドイツの天文学者J.ボーデ(1747年〜1826年)によって1772年に発表された。当時はまだ水星金星、(地球、)火星木星土星だけしか発見されていなかったが、天王星が予想される位置に発見されることによって俄然注目された。さらに小惑星が続々発見されるとその平均値も、これまで空いていた位置であった。しかし、海王星以後はあまり一致しないが、一つ飛ばしてめい王星にするとかなり一致する。

 r = 0.4+0.3×2n 

r:太陽からの距離(AU)
n:太陽から何番目の惑星か(ただし、水星=-∞、金星=0、地球=1、火星=2…)

 この法則の計算値と実際の値は下を参照。

惑星名 計算値 実際の値(AU)
水星 -∞ 0.4 0.3871
金星 0 0.7 0.7233
地球 1 1.0 1.0000
火星 2 1.6 1.5237
(小惑星の平均値) 3 2.8 2.65
木星 4 5.2 5.2026
土星 5 10.0 9.5549
天王星 6 19.6 19.2184
海王星 -- -- 30.1104
めい王星 7 38.8 39.5404
8 72.2

 もちろんチチウス・ボーデの法則は、現在のところたんなる経験則である。しかし、たとえばケプラーの法則も経験則であるが、その背後にニュートンの万有引力の法則と運動の法則が隠されていた。このように、チチウス・ボーデの法則の背後にも、まだ我々の知らない物理法則があるのだろうか。

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用語と補足説明

羊飼い衛星土星天王星の環の中には、衛星が及ぼす引力によって維持されているものがある。このように、環を維持している衛星を羊飼い衛星(Shepherd Satellites)という。羊飼い衛星については、国立天文台アストロ・トピックスNo.47(2004年9月16日)も参照。

-∞乗や0乗2-x=(1/2)で、2=∞だから、2-∞=(1/2)=0である。

 また、2×2=2x+y、すなわち2÷2=2×2-y=2x-y。ここで2÷2=1。また2÷2=2x-x=20。つまり20=1。なお、一般にa0=1である。べき乗の計算はこちらも参照

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