3 エネルギー問題

 エネルギー資源は、一度消費されると再生されないものが多い。果たして、人類の消費に耐えるだろうか。

3・1 エネルギー資源

(1)  エネルギー資源の分類

ア. 使えばなくなるもの

 化石燃料(石炭・石油・天然ガス)、原子力

イ. なくならないが、1年間に使える量にはかぎりがあるもの

 水力、地熱、潮汐力、風力、海水の温度差、太陽、生物(薪、エタノール化)

 また、別な分類をすると

ウ. もとをたどれば太陽エネルギー

  化石燃料、水力、風力、海水の温度差、太陽、生物

エ. 太陽エネルギーとは無関係

原子力、地熱、潮汐力

となる。

 世界のエネルギー消費量を見てみると、産業革命以後急速に増加しだし(最初は石炭)、さらに1950年代のエネルギー流体革命(石油利用の拡大)以後それは増大している。そして、その大半は化石燃料であり、今後も当分それは続くであろう。また、エネルギー消費量自体も、発展途上国、とりわけ中国とインドの経済成長により加速するであろう。


世界のエネルギー消費量と人口の推移
資源エネルギー庁エネルギー白書2013(http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/1-1-1.html

(2) 各々のエネルギー資源

 エネルギー資源については、おもに資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/ を参考とした。ほかに、いわゆる「新エネルギー」については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「新エネルギー(再生可能エネルギー)(技術/成果情報)」(http://www.nedo.go.jp/seisaku/shinene.html?from=key)が参考になる。

a 化石燃料

 過去の生物の遺骸が、地層中で長い年月をかけて変化してできたものである。そういう意味でいわゆる普通の化石だし、また生物は太陽エネルギーのもとで生きてきた、すなわち太陽エネルギーを固定したものだと考えれば、太陽エネルギーの化石ともいえる(<1・2 食料>参照)。

a-1.石炭

 石炭は,古代の植物の遺体が地中に埋もれ、非常に長い時間にわたって変質し、炭素分に富む可燃性固形物になったものである。一般的に古い時代のものほど、炭化の純度が高く品質がよい。外国で採掘されている高品質の石炭(無煙炭・瀝青炭)は、地質時代では古生代の石炭紀と呼ばれる時代(今から約3億年ほど前)の植物(巨大なシダ植物)がもとになっている。それに対して日本の石炭はおもに新生代の古第三紀(約2300〜6550万年ほど前、もとになったのは被子植物)のもので、つまり比較的新しいのでどうしても品質が劣る。

 そうしたこともあって、日本政府は1950年〜60年代にスクラップ&ビルドと称し、意識的に炭坑をつぶし、余剰人員を都会の工業地帯に吸収するという政策をとってきた。その結果、今日(2007年)においては唯一、釧路炭田(経営は太平洋炭礦(株)だったが2002年1月で閉山で、現在(2010年10月)は釧路コールマイン(株)が経営を引き継ぐ)が、技術継承・公害防止技術開発・海外からの研修生受け入れを目的に細々と採炭しているだけになった。

※ 石炭液化

 固体である石炭は、液体である石油に対して取り扱いの容易さ(微妙な調節など)において劣る。そこで、石炭を液化する研究が行われている。石炭液化の研究史については、「日本の石炭液化技術開発」(http://www.brain-c-jcoal.info/cctinjapan-files/japan/2_4A1.pdf)を参照。

国内炭・輸入炭の供給量の推移
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
石炭の輸入先(2011年度)
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

 

a-2. 石油

 石油の起源には一部まだ不明な点もあるが、一般には海の生物(おもにプランクトン)がその起源といわれている。液体なので井戸を掘って汲み上げるが、回収率(汲み上げ率)は5〜30%程度といわれている。また、陸上での新油田の開発が困難になってきているので、海底油田の開発が多くなってきている。それも浅海から深海へと開発の場が深くなっている。



石油ができるまで(石油情報センター)
http://oil-info.ieej.or.jp/cgi-bin/topframemake.cgi?ParaSession=OW2

 

※ 2010年4月に爆発事故を起こして大量の原油流出事故を起こした、メキシコ湾の海上の石油掘削施設(リグ)は、1500mの深海から石油をくみ上げていた。すでに3000mの深海での開発も始まっている。


http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/whatsnew/JAMSTEC2006/pdf/jogmec.pdf

 オイルシェール(頁岩)・オイルサンド(砂岩)という、石油や天然ガスを含んだ岩石もあり、まだ本格的な利用は始まっていないが、潜在的にはかなりの量になる。エネルギー白書2006では、2005年の日量220万バレルから2030年には1,020万バレルに増加し、世界全体の石油供給量の9%を占めるようになると予測している。

※ アメリカには膨大なオイルシェール・オイルサンドがあり、2020年代になるとエネルギー輸出国になると思われている。2013年からアメリカとカナダは日本に対するシェール・ガスの輸出を始めた。一方世界の天然ガス市場でのロシアの地位は下がるだろうと予想される。

※ バレルは石油を量るヤード・ポンド法の体積の単位。バレルはもともと石油を運ぶときに利用した樽の意味。1バレルは約159L。

 ちなみに日本の石油の用途を見てみると、電力になっているのはわずか9.3%である。つまり、本当の石油危機が来たら、電力しか生産できない原子力では代替できないのは明らかである。

原油の輸入先(2011年度)
資源エネルギー庁(エネルギー白書2010)http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm
資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

 石油は、日本ではほとんど採れないと考えてよい。上記の資源エネルギー庁エネルギー白書2013によれば、実際石油の輸入依存度はほぼ99.6%、そのうち約85%が中東地区からのものである。最近付近、このアデン湾・ソマリア沖での「海賊」の被害が深刻化している(各国の対策の結果減少傾向にある)。


ソマリア沖・アデン湾における海賊(資源エネルギー庁エネルギー白書2013
(http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/index.html))

※ 石油の海外依存度が99.6%ということは、0.4%は国内で生産されているということでもある。国内の油田・ガス田については、石油資源開発株式会社の「わが国の油ガス田」のページ(http://www.japex.co.jp/business/japan/field.html)を参照。

 

a-3. 天然ガス

 石油や石炭に伴って産出されたり、地下水に溶けていたりする。主成分はメタンである。最近は大規模なパイプライン、また液化することによって(液化天然ガスをLNGという)遠くに運ぶことができるようになったので、利用が拡大してきている。潜在的埋蔵量もかなり多いと思われている。また、燃焼時に石油と比べ、二酸化炭素や酸化イオウの排出が少ないという特徴もある。

 天然ガスもほとんど輸入で、資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.htmlによると、輸入依存度は2011年度で96.9%になっている。輸入先は原油ほど特定地域に集中しているわけではないが、世界の天然ガス貿易の32.3%を日本が占めている。

※ シェール・ガスについては上の記述を参照。

天然ガスの輸入先(2011年度)
資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

補足 メタンハイドレート

 深海やシベリア・カナダなどの凍土には、「メタンハイドレート」と呼ばれる半透明の氷状のかたい物体(深海ではメタンハードレートがない地層よりも、メタンハドレーとを含む地層の方が堅くなっている)がたくさん存在している。これは、メタンが低温・高圧下で水の分子の間に入り込んでできたといわれている。天然ガスの埋蔵量の1.6倍から12倍もあると見積もられ、将来のエネルギー源としても期待されている。一方、地球温暖化によってこのメタンハイドレートが融けだし、溶けていたメタンガスが大気中に大量に噴き出てくると、メタンガスは強い温室効果を持つので、地球温暖化を加速すると心配する人たちもいる(地球温暖化については6・3の(2)参照)。

採掘されたメタンハドレート。常温状圧のもとでは融けだしてくる。 燃えるメタンハドレート メタンハドレートの構造。メタンがかご状の氷分子に取り囲まれている。

海洋科学技術センター「海から地球と生命へ」
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/30th/part6/page3.html

メタンハイドレートの存在条件(低温で高圧)
メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム
http://www.mh21japan.gr.jp/mh/02-2/
経済産業省(平成24年(2012年)1月31日資料)、BSR(海底疑似反射面)はメタンハイドレートがあると思われる地層があるところ。
http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H23/120131_sekiyutennengas/sekiyutennengas11-1_7.pdf

b 原子力

 ウランの核分裂の際に生ずるエネルギーを利用する。詳しくは<4 原子力>を参照。

 

c 水力

 太陽エネルギーによって蒸発した水が、降雨(降雪)となりもう一度地表に戻る。このうち高いところに降った降水の位置エネルギーを電気エネルギーに変換して利用する(水の落差を利用して水車を回し、それによって発電する)。これだけならば、クリーンなエネルギー源ともいえる。世界的にはまだ開発の余地はかなりあるが、ダムを造らなくてはならず、大規模なダム工事には別な問題が伴う(6・4参照)。 純国産エネルギーといえるが、国内の大規模な開発可能地点はすでに開発され、これ以上の大規模な開発は難しい(※)といわれている。

※ 群馬県八ツ場(やんば)ダム建設は様々な問題を抱え、また、建設続行か中止かで政党間の争いにもなっている。

水力発電導入量
資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)。中国は2009年に三峡ダム発電所が加わった。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
三峡ダム(google map)


地熱

 地下のマグマに由来するエネルギーを利用する。マグマから生ずる水蒸気を直接利用したり、マグマからの熱によって水蒸気をつくったりして発電を行う。また直接熱源として、浴用、施設園芸、道路消雪などにも利用する。

地熱発電の原理 日本の地熱発電所
資源エネルギー庁:http://www.enecho.meti.go.jp/topics/ground/sikumi/index.html
日本の地熱発電設備容量と発電量
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
地熱発電導入量の国際比較
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

 資源エネルギー庁(エネルギー白書)によると、2011年5月の時点で、日本では地熱発電所は18地点に存在し、約54万kWの設備容量がある。これは日本の総発電量の0.2%であるが、地熱エネルギーは潜在的には日本の消費エネルギーの12%程度あると見積もられていることを考えると、その利用の割合は低い。実際、2011年の時点でアイスランドに次ぎ世界8位の導入量でしかない。995年ころから発電設備容量は横ばい、実際の発電量は下降気味である。地熱の豊富な火山地帯は国立公園や国定公園になっていることが多く開発が難しいこと(これについては規制が緩められた)、住民の同意がなかなか得られない(とくに温泉への影響が心配される)こと、開発には長い時間がかかることなどがその原因といわれている。

e 潮汐力

 海水の満ち引きによる潮流を利用する。干満の差が大きなところでないと利用が難しい。潮汐力を利用する。フランスのランスでは干満の差8mを利用した24万kWの発電所もある。

原子力百科(http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=01-05-01-07)から

 

f 風力

 風力発電はクリーンな自然エネルギー(再生可能なエネルギー)であるが、「風任せ」、エネルギー密度が小さいという問題がある。風は気圧差が生ずることによって吹く。その気圧の差は太陽エネルギーによって生ずるので、これも、もとをたどれば太陽エネルギーといえる。

 日本では2000年代以降急速に増加しだし、2011年度末時点での導入量は1870基、出力約255.6万kW(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)調べとなっている。それでも、世界では第13位でしかない。地域別には風の安定した東北地方に多い。今後は海上の風力発電所も増えて行くと思われる。

日本の風力発電導入の推移
資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
風力発電導入量の国際比較
資源エネルギー庁(エネルギー白書2013)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
設備容量の地域別割合
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/1-1-2.html
千葉県銚子沖の海上の風力発電所
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/1-1-2.html

 

g 生物資源エネルギー(バイオマス・エネルギー)

 昔から木材は直接薪炭として利用されてきた。現在では微生物の働きによってメタンやアルコールをつくり、それを燃料とすることも研究されている。つまり、太陽エネルギーを、植物の光合成作用により有機物資源に変換、固定し、貯蔵や利用を行うものである。光合成機能を生かし、太陽エネルギーを電気・水素エネルギーに変える技術開発も行われている。

 ウシ3頭の1日分の糞で、1家庭1日分の電力に匹敵するエネルギーが得られるという。

バイオマスのエネルギー利用
NEDO(http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/neg/neg06/index.htmll

 

h 海水の温度差

 海水は、太陽の熱によって海の表面付近は暖められるが、深いところ(深さ数百mのところ)までは太陽の熱が伝わらず、温度は年間を通してほぼ数℃の低温である。海水の温度差発電は、その温度の差を利用して発電する。具体的には、アンモニアなどの気化しやすい気体を暖かい海水で蒸発させタービンを回し、その蒸気を冷たい海水でもとの液体に戻す。

 火力・原子力発電の温排水(タービンを回した水蒸気を冷やして水に戻すために汲み上げられ、そのために温度が上がった海水)の利用も考えられている。

 

i 太陽

i-1. 太陽光発電

 太陽光発電は、シリコンなどの半導体を使った太陽電池で光を受け、それを直接電気に換える発電システムである。発電の過程では廃棄物が出ないため、クリーンなエネルギーといわれている。1995年3月末時点の稼働実績は約3.5万kWだったものが、2009年9月には1343万kWに達している。日本は2004年までは世界一だったのだが、その後ドイツ、スペインに抜かれてしまった。また、太陽電池の生産量も、2007年まではトップだったが、2011年では第4位、生産量そのものは増加しているが、世界の中のシェアは2007年度の25%から2011年度の7%に急落している。

IEA(国際エネルギー機関)加盟諸国の太陽光設備容量(2011年度)
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
太陽電池生産量(2011年度)
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

 太陽光発電は、大電力を得るためには、非常に大きな面積を必要とする。また、天候にも左右される。発電効率は10〜15%(火力発電は40%程度)、稼働率は12%程度(火力発電は70%程度)と見積もられている。

 一般的な条件(稼働率12%)では、35m2程度の面積で、一般家庭の1年間の電力使用量(3600kWh)がまかなえるという。建設費等のコストは240万円と見積もられている。導入時には国や自治体から補助金(国の補助金は一時打ち切られていたが2009年度に復活)が出るし、余剰の電力は各電力会社が使用電力料金より高い価格で購入することになっている。2009んねんどから国や自治体の補助金制度が復活した(2005年度でいったん打ち切り)ために、その後は急増していることがわかる。

太陽光発電の国内導入量とシステム価格の推移
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html
太陽電池の国内出荷量の推移
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

太陽光発電(NEDO)
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/neg/neg02/index.html

i-2.太陽熱の利用

 太陽の熱を集め、水等を加熱する。給水を直接加熱して温水にする太陽熱温水器と、強制循環する熱媒、蓄熱層等により高度な熱利用が可能となるソーラーシステムに大別される。

 太陽熱温水器の普及数を見ると、他の競合機種の普及もあり、年々減少している。一時の強引な訪問販売が嫌われたという側面もあると思う。

家庭での太陽熱利用(財団法人省エネルギーセンター)
http://www.eccj.or.jp/scnet/energy/energy_01/index.html(2010.10.24現在リンク切れ)
太陽熱温水器の普及数
資源エネルギー庁エネルギー白書2013
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2013energyhtml/2-1-3.html

 

補足:太陽エネルギーの上限とクリーン度

 太陽エネルギーによって、地球の環境は維持されている。人間がそれをどこまで横取りしていいのかは、慎重に検討しなくてはならない。クリーンかどうかも、太陽電池の製造から廃棄の段階まできちんと評価しなくてはならない。

 

j その他

j-1. 燃料電池

 燃料電池は、天然ガスやメタノールなどの燃料から水素を取り出し、大気中の酸素と反応させて電気をつくる発電方式である(水の電気分解の逆)。電池というより、発電機という感じである。発電効率が40〜60%と高く、そのときに出る排熱も利用すれば、トータルで80%近くもエネルギーに換えることができるといわれている。反応の生成物も水なので、この部分だけを見るとクリーンなエネルギー源といえる。水素は天然ガスやメタノール、LPG(液化プロパンガス)、ナフサ、灯油、石炭ガス化ガスなどから得られる。

 小型化され、ノート型パソコン、携帯電話の電源としての利用も始まっている。

図3-5 燃料電池の原理 (社)日本ガス協会
http://www.gas.or.jp/fuelcell/contents/01_1.html

 また、住宅用として、都市ガスから水素を分離して空気中の酸素と反応させて発電し、その際の発熱でお湯も沸かすコジェネレーション装置も、「エネファーム」という統一名で、各ガス会社から販売され始めた。エネファームは太陽光発電と組み合わせて使うこともできる。日経ホームビルダー2009年10月20日(http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20091029/1029954/)によると、エネファーム+太陽光発電にかかる初期費用575万円、それに対して国からの補助金が163万円出るので実質的な負担額は約412万円程度となる。また年間光熱費はこれによって約12万円(24万円→12万円)の削減になるという。つまりこのままでは、メンテナンスのコストがないとしても、もとをとるのに35年近くかかってしまう(エネファームの耐用年数は約10年というので、もとは取れない)。もう少し初期費用が安くならないと爆発的な普及とはいかないだろう。たしかに同じだけのエネルギーを消費したときには二酸化炭素排出量は減らせるだろうが。

エネファームの原理:東京ガスhttp://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm/enefarm01.html エネファームと太陽光発電:東京ガスhttp://home.tokyo-gas.co.jp/enefarm_special/index.html

j-2.水素エネルギー

 直接水素を燃やしてエネルギーを得たり、燃料電池として使う。水素そのものは、化石燃料から作ったり、工業の家庭で副産物として出るのを回収したり、バイオマスを利用したり、水を分解したり(そのエネルギーは太陽エネルギーなどが考えられている)してつくる。エネファームとして実用化され始めた。j-1. 燃料電池を参照。

 

j-3. 廃棄物発電

 ゴミ(廃棄物)を焼却処理する際、高温の燃焼ガスが大量に発生する。この熱を利用して蒸気をつくり発電を行うのが「廃棄物発電」である。ゴミの焼却の際に生ずる熱を直接利用することも考えられる。


廃棄物発電の伸び(資源エネルギー庁エネルギー白書2006)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2006EnergyHTML/html/i2130000.html

 

j−4 その他

 氷雪の利用(冬の雪を保存し夏の冷房に利用する)、ハイブリッド自動車(内燃機関エンジンと電気モーターを組み合わせる)、電力の効率的な貯蔵(超電導電力貯蔵など)、電気の輸送損失をなくすための超電導技術、また大きな発電所に頼るのではなく小さな発電所を分散させる分散型エネルギーシステムなども考えられている。

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