DEEP LIFE 海底下生命圏

DEEP LIFE 海底下生命圏 稲垣史生 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-531933-8 1,100円+税 2023年5月

 深海底の底に分厚く堆積している堆積物内までも生命(バクテリア、アーキア(古細菌))が存在していることがわかってきた。

 超高圧、乏しい生命の材料とエネルギー源、そうした環境のなか、超スローな生存形態をとっているという。メタンはイドーレートもそうした生命が作ったものもあるという(化学的にも生成されるが炭素同位体比が違う)。

 とても超スローライフ、互いに競争し合うのも止めて、ともかくおのれの生き残りをかけて、じっと我慢の生活を送っているらしい。

 生命の起源の場ではないだろうから、プレートの沈み込みなどによって偶然地中深くに持ち込まれたものが、生き残ったようだ。タンパク質が変性される温度の深さまで生命がいる可能性がある。ただもちろん、生物の量は深くなるほど少なくなる。

 新書版という制約からやむを得ないが、図が小さいのが難点。グラフも断り抜きに対数尺とか出てくるし、本文中の用語も難しいのが多いので、あまり一般向けではないかもしれない。

 2011年3月11日の地震(津波)について、当時八戸港にいた地球深部掘削船「ちきゅう」の話も出てくる(下リンク)。たまたま地元の小学校の生徒と引率の先生たちが乗船していた。乗船した人(女性)の話では、外が見えない部屋に集められた児童たちは、自発的に手を繋いでしゃがみ円陣を組んだそうだ。この行動にとても感心したという。だが、問題は食糧をあまり積んでいなかったこと。救助が遅れたらどうしようかと思ったそうだ。実際には翌日自衛隊のヘリで救助された。

https://www.jamstec.go.jp/chikyu/j/magazine/future/no12/page02.html

※ 海底地殻の岩石名について、ガブロ、玄武岩などが出てくるが、ガブロは斑糲岩(はんれい岩)というマフィック(苦鉄質)の深成岩。玄武岩は鉱物組成が同じ火山岩。つまり、海底近く上部は玄武岩、深部はガブロという関係

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2023年7月記

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