大規模言語モデルは新たな知能か

大規模言語モデルは新たな知能か 岡野原大輔 岩波科学ライブラリー ISBN978-4-00-029719-2 1,400円+税 2023年6月(2023年7月第2刷)

 ChatGPTなどの対話型AIが、コンピュータの中で(コンピュータとして)どのようなことをやっているのかを解説する。こうしたことは、コンピュータの発達、演算速度の向上とメモリの容量の拡大が現在のようになって初めて実現された。しかも、訓練データの量、利用するモデルのパラメータ数、投入計算量が多ければ多いほど、しかもそれは規則的(べき乗則)に正しい答えを得られるようになるという。

 つまりこれは、開発と維持に膨大な資本が必要ということだ。すでにオープンAI社、マイクロソフト社、グーグル社などの巨大資本が先行しているいま、これらに追いつけるのはテスラ社など限られた会社になってしまっている。大きな可能性を秘めた技術が、言葉を換えれば未来が、いくつかの巨大に握られてしまっているということになる。

 ChatGPTだって間違えることがあるとか、わからないことがあるとか、それはまだこの技術が黎明期なのであたりまえ。誤回答・珍回答を笑っていられるのは今のうち。そのうち、囲碁や将棋のソフトがプロを破るだけの能力を持ったのと同じように、いろいろな分野でのプロを凌駕していくのだろう。
 ヒトよりも遙かに大きな記憶容量を持ち、また圧倒的な計算速度を持ち、そして疲れを知らずに学習できる、こうしたAIをヒトは使いこなすことができるのだろうか。

 いまはAIを手名付け、訓練を施している巨大資本、この方向も恐いが、その作業を実際に担っている巨大資本の技術者たちの思惑も超えて、AIみずからが発展していく可能性するあると思う。

 ますます、人類は自分たちが作り出してきたものに、支配されていくようになるの立ち会っているのかもしれない。

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2023年9月記

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