食虫植物

食虫植物 福島健児 岩波科学ライブラリー ISBN+78-4-00-029710-3 1,800円+税 2022年3月

 食虫植物は何種類か飼ったことがあるし、今でも何種類か飼っている。とても興味深い食虫植物、その総合的な解説本。

 進化系統樹としては、直感通りに単一起源ではないということが、DNA解析からも明らかになったという。たとえばハエトリソウはムジナモに近く、ナデシコ目でそこにはウツボカズラやモウセンゴケもいるが(さらに上に行くとキク類)、ムラサキヘイシソウはツツジ目とか。収斂進化。

 一般的に捕虫器は葉が変化したものだが、中には幹で捕まえるのもあるという。また、光合成と捕虫は相補的なものではなく、虫(獲物)から栄養を補給することによって、光合成を行う葉の生長も促進されるという。考えれば当たり前か。

 なかには共生もあるという。捕虫器の中に住むアリもあり、捕虫器の内壁をよじ登ろうとする獲物を消化液に落としたり(アリにとっても獲物の分け前をもらえる)、さらにはウツボカズラ内をすみかとするコウモリもいるらしい。コウモリにとっては安全な寝床(コウモリが落ちない構造)であり、その糞はウツボカズラの栄養になる(捕虫係)。もちろん、捕虫器を食べる天敵もいる。軍拡競争はここでも。

 食虫植物も奥が深い。

 

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2022年7月記

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