カフカ全集II

カフカ全集II 原田義人・渡邊格司・石中象治 新潮社
昭和28年4月 昭和46年6月6刷 750円

目次

審判
第1章 逮捕・グルゥバッハ夫人との對話・次ぎにビュルストナー嬢
第2章 最初の審理
第3章 人気のない法定で・學生・裁判所事務局
第4章 ビュルストナー嬢の女友達
第5章 笞刑吏
第6章 叔父 レーニ
第7章 辯護士・工場主・畫家
第8章 商人ブロック 辯護士の解約
第9章 伽藍で
第10章 終末
付録
 断章6編
 筆者によって削除された箇所
 跋文

アメリカ
第1章 火夫
第2章 伯父
第3章 別荘
第4章 シムスへの道
第5章 ホテル・オクシデンタル
第6章 ロビンソン事件
第7章 避難所
第8章 オクラホマの野外劇
付録
 断編
 後記 

 「審判」と「アメリカ」が収録されている全集(全6巻、持っているのは小説を集めた1〜3)の第2巻目。

審判:突然逮捕されたヨーゼフ・K。エリー都銀行員の彼には身に覚えがない。だが、審理は銀行員業務がない時間に進んでいく。場所は日常生活と隣り合わせのところ。一帯何を審理するのか、そもそも誰が審理するのかもよくわからない。裁判所と絡んでいるらしい洗濯女(廷丁の妻)。伯父の友達の辯護士、彼の世話をする看護婦レーニさらには裁判官の絵を描く画家なども登場する。畫家には本当の無罪は事実上なく、あとは外見上の無罪、引き延ばしかかないといわれる。弁護士を頼る、でも実際には他にも頼んでいる卑屈な商人ブロックを尻目にKは弁護士を解約する。伽藍で僧から開かずの門の話を聞く。そして唐突な処刑、まるで犬のように死んでいく。

※ オーソン・ウェルズ監督の映画「審判」もある。

アメリカ:最近は「失踪者」となっているらしい。故郷ドイツで不始末を起こしてしまって両親からアメリカに追放された主人公(カール・ロスマン)。アメリカに上陸する際(例によりトラブル)偶然に大金持ちの伯父と会い、彼の家でしばらくリッチな生活を送るが、伯父の機嫌を損ね(伯父の友人に招待され、伯父の意に反して招待に応じたこと)追放。以後職を求めて…、という話。マックス・ブロートによると、最終的には両親との和解まで考えていたらしい。残った原稿はもちろん完全なものではなく、断片、錯綜、未完のままなので、全体像はつかみにくい。まあ、これは「審判」も同じ。

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2018年3月記

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