昭和天皇

昭和天皇 原武史 岩波新書新赤1111
ISBN978-4-00-431111-9 740円 2008年1月

目次
昭和天皇が出席した主な宮中祭祀
皇居概略図 宮中三殿と付属施設
序章 1986年の新嘗祭
第1章 「万世一系」の自覚
第2章 ヨーロッパ訪問と摂政就任
第3章 天皇としての出発
第5章 退位か留位か
第6章 宮中の闇
あとがき

 本当は平和主義者なのだが、軍部の独走を止められなかったという虚構を振りまくことにはある程度成功してきたと思う。だが実像は、戦争を積極的に推進し、また神懸かった皇太后(母)に悩みつつも、みずからも万世一系の天皇家として祖先に対する責任を自覚(一般民衆に対しては無自覚)する昭和天皇。そのための祭祀はかかせない。弟である高松宮との確執。

 戦後も政治に絡みたかったようだ(内奏の要求)。どこまで本人の自由裁量がきくのか、靖国神社参拝はA級戦犯が合祀されたことを理由に拒否する。だが、彼自身、どこまで戦争責任を感じていたのか(「言葉のアヤについては、文学に詳しくないのでわからない」発言)。

 平成天皇もお濠の内側の祭祀に熱心だという。

昭和天皇については下も参照。
昭和天皇(上下)ハーバート・ビックス 吉田裕監修 岡部牧夫・川島高峰・永井均訳 講談社学術文庫

2008年2月記

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