日本売春史

日本売春史 小谷野敦 新潮社(新潮選書)
ISBN978-4+10-603590-6 1,100円 2007年9月(2007年11月3刷)

目次
まえがき
第1章 売春に起源はあるのか
第2章 古代の遊女は巫女が起源が
第3章 遊女論争 網野喜彦による「密輸入」
第4章 「聖なる性」論の起源
第5章 優勢の遊女と網野史学
第6章 近世の遊女史
第7章 岡場所、地方遊郭、飯盛女
第8章 日本近代の売春 廃娼運動と自由恋愛
第9章 現代日本にも存在する売春 カフェ、赤線、ソープランド
あとがき
関連年表
参考文献
索引

 筆者の舌鋒は鋭く、過去・ちまたの説に対して逐一反論していく。日本では、歴史学・民俗学・文学者たちはその壁を乗り越えた相互検討・批判をしないという指摘は当たっていると思う。

 所々で批判の対象となっている佐伯順子の「遊女の文化史」(中公新書、1987年)については、かつて私も職場の「図書館だより」で『読まなくてもよい本』の1冊に挙げたことがある。私の批判は、この本は“文学史”であって“文化史”ではないというものであった。小谷野氏の批判と共通点があると思う。

2008年2月記

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