<満州>の歴史

満州の歴史 小林英夫 講談社現代新書
ISBN978-4-06-287966-8 760円 2008年11月

目次
はじめに
第1章 19世紀初頭までの満州 封禁の地の変容
第2章 東アジア激動の中の満州 日露戦争から第一次世界大戦まで
第3章 奉天軍閥と対立する日本 第一次世界大戦から満州事変まで
第4章 「満州国」の時代 満州事変から第二次世界大戦終結まで
第5章 「満州国」は何を目指したのか 「満州産業開発5カ年計画」と満州移民計画
第6章 満州に生きた人たちの生活と文化 「五族共和」の理想と現実
第7章 消滅した「満州国」が遺したもの
第8章 満州の記憶とその変容 引き揚げ者たちの回想をめぐって
あとがき
参考文献

 満州を、満州前、満州後までを統一的に、またそこに生活した人の視点も含めて総合的に振り返ろうとする本。

 中国側の登場人物としては、清朝の残滓でしかない、自分の野望を利用されただけの愛新覚羅溥儀(宣統帝)と異なり、単なる軍閥(ひどい場合は馬賊)でしかないという評価だった張作霖、その息子張学良(1901年生まれ)に興味が出てきた。とくに張学良。西安事件(蒋介石監禁事件)の当事者として国民党(台湾政府)に長らく軟禁状態になっていた(消息不明状態)。それが1990年のNHKのインタビューに登場し、翌年国民党政府から解放されハワイに移住(追放?)。中国(故郷)に戻りたいかという問いに、「戻りたい、だがいまはまだそのときではない。」と答えていた。結局戻ることなく100歳で死んでしまうのだが。

2008年12月記

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