金日正と日本知識人

金正日と日本の知識人 川人博 講談社現代新書1897
ISBN978-4-06-149897-6 700円 2007年6月

目次
プロローグ なせ論争を提起したのか
第1章 姜尚中氏は、民衆とともに闘え
第2章 知識人の責任を問う
第3章 苦悩する在日と私
第4章 拉致被害者を救い、北朝鮮に人権の旗を
第5章 アジアの人権と平和を求めて
エピローグ 被害者救出と金正日独裁体制の崩壊をめざして
第1章の初出と主な参考文献
参考資料1 世界に広がる北朝鮮拉致被害者
参考資料2 拉致関連年表

 「諸君」と「週刊朝日」などを舞台に、姜尚中氏、和田春樹氏と論争した川人氏が考えをまとめた本。私も、和田氏、旧社会党などの拉致を否定的に捉えていた人たちの真摯な反省の弁を聞いたことがない。まったく漫画的としかいいようがない(それ故に北朝鮮の人々は悲惨な状態におかれている)金王朝をなぜきちんと批判できないのか。

 これは、かつての反代々木勢力の一部にもいえて、これまたそれを漫画的に体現したのが赤軍派だった。よりによって北朝鮮に逃げ込むとは。北朝鮮はテロを輸出しようとしたことはあったようだが、「革命」を輸出しようとしたことはない。もっとも北朝鮮の「革命」を輸出されたら悲惨だ。赤軍派のその後はたんなる謀略の手先となってしまったようだ。

 もっとも現在の世界情勢の狭間では、大国の思惑によって北朝鮮は崩壊を免れているように見える。

 別件で、もと公安調査庁長官と総連幹部の総連ビル売買をめぐる不可解な事件があった。裏を勘ぐりたくなる気分。

2007年7月記

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