「慰安婦」問題とは何だったのか

「慰安婦問題」とは何だったのか 大沼保昭 中公新書1900
ISBN978-4-12-101900-4 820円 2007年6月

目次
はじめに
第1章 「慰安婦」問題の衝撃
第2章 アジア女性基金とメディア、NGOの反応
第3章 被害者の視点、被害者の利益
第4章 アジア女性基金と日本政府の問題
第5章 償いとは何か
終章 21世紀の日本社会のあり方
あとがき
「慰安婦」問題関連年表

 この本の内容は、筆者が創設から関わり、この3月に解散した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金=慰安婦に対する経済補償をNGOを通じて行う」の総括である。

 ときの内閣、官僚たちとの駆け引きと筆者の思惑、アジア女性基金内部の矛盾、硬直化しているメディアの報道、さらには補償を受ける立場の人たちがおかれている様々な状況の違い、こうした難しい状況下で一応仕事を終えたという現段階で区切りをつけたい、記録に遺したいという思いで書かれたのだと思う。

 だが、現実は慰安婦問題すら存在しなかったとしたい一部政治家がワシントンポスト紙に広告を出したり、逆にアメリカ議会では慰安婦問題決議がなされるなど、まだ状況は混沌としている。また、歴史教科書では隠蔽・改ざんがなされている。

2007年7月記

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