新しい高校地学の教科書

絶滅古生物学 平野弘道 岩波書店
ISBN4-00-006273-5 3,800円 2006年2月

目次
はじめに
A 地質年代表
B 地質年代区分
C 分類群について
D 安定同位体からわかること
第I部 絶滅とは
 1 絶滅の定義
 2 顕生累代の絶滅事変
 3 絶滅の認識とその歴史
 4 大量絶滅の原因論
 5 進化論における絶滅
第II部
 0 顕生累代の生物の誕生
 1 オルドビス紀末の絶滅
 2 デボン紀後期の絶滅
 3 ペルム紀末の絶滅
 4 三畳紀末の絶滅
 5 白亜紀末の絶滅
第III部 絶滅と進化
 1 隕石衝突仮説の波及効果
 2 絶滅とは確率的事象なのか
 3 原因説の検証
 4 大量絶滅がなかったら
 5 進化論のおける絶滅−再び
 6 絶滅古生物学へ
引用文献
索引

 ある生物種の「絶滅」という事実。とくに恐竜のそれは興味深い。だが、白亜期末の恐竜の絶滅以外、あるいはそれ以上の大絶滅もあった。

 こうした絶滅はなぜ起こるのだろう。白亜紀末の大量絶滅は、隕石の衝突ということで、問題の決着が図られようとしている(その細部=ストーリーはまだ不明)。しかし、白亜紀末以上(K/T境界)といわれているペルム紀末(P/T境界)の大量絶滅は?

 筆者はかつて「恐竜はなぜ滅んだか」(講談社現代新書、昭和63年=1988年)、「繰り返す大量絶滅」(岩波地球を丸ごと考える7、1993年)でこの問題を、一般人に対して解説を試みている。白亜紀末の大量絶滅については、当時はまだ隕石衝突説を紹介しつつも、まだそこにあまり大きな体重をかけていなかったようだが、この本ではかなりの体重を隕石衝突説におくようになっている(すでに恐竜は衰退の道をたどっていたという感じでも書いている)。

 いずれにしても、やはり大量絶滅は謎である。白亜紀末に限っても、恐竜は滅んだのに、ほ乳類・鳥類だけでなく、一部のは虫類(大型のものも)が生き残ったのはなぜかなど。

 細かいことをいうと、「K選択」とか「r選択」などという言葉が出ているが、その意味を説明していない。また詳細・膨大な引用文献はいざというときに便利なのだろうが、読者の一部として想定している「中学,高校の理科教師」の一人である私にとってはその能力を超えているので、別枠で章ごとの参考図書を挙げてもらうとありがたい(参考図書が引用文献に埋もれている)。さらに、地質年代表の問題は私のWebでも指摘しているとおり。

 正直な感想をいえば、この本はラウプの「大絶滅」(David M. Raup、平河出版社、1996年)を超えることができなかったと思う。

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