エピジェネティクス入門

エピジェネティクス入門 三毛猫の模様はどう決まるのか 佐々木裕之 岩波科学ライブラリー101
ISBN4-00-007441-6 1,200円 2005年5月

目次
はじめに
1 個性はどこで決まるか
2 エピジェネティクスとは
3 さまざまな振舞い
4 個性は伝わるか
5 もっと複雑な仕組み
6 病気との深い関係
7 便利な道具にハマる生物

 新装なった岩波科学ライブラリーの第1弾。定価を少し上げ、紙質を少し下げた。

 この本は、生物関係者以外にはまだあまりなじみのないエピジェネティクスの解説本である。エピジェネティクスは遺伝子の発現のオン・オフを調節・整理するデータベースとでもいうべきものであろうか。その実体はDNAのメチル化にあるらしい。

 ほ乳類の単為生殖が難しいのも、エピジェネティクスから説明されている。ある遺伝子は(例えばインスリン様成長因子遺伝子)は父親経由のものしか使われない。単為生殖ではそれがないというわけだ。単為生殖したマウス「かぐや」はここを回避するよう工夫してはじめて誕生した。とはいってもうまくいったのは1%以下の確率であったという。

 筆者は「エピジェネティクス」のブレークを期待しているのかもしれない。副題のような取っつきやすそうなものをつけたのだろう。でも、ブレークする日はまだ遠い?

2005年6月記

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