新・免疫の不思議

新・免疫の不思議 谷口克 岩波科学ライブラリ97
ISBN4-00-006597-1 1,100円 2004年3月

目次
1 免疫による感染防御は単なる結果にすぎなかった
2 自己と非自己を見分ける免疫系
3 一億年後に出現する新たな病原体にも対処できる免疫系
4 一兆のレパートリーから一つの機能だけを演出するマジック
5 抗体とは異なるもう一つの抗原認識システム
6 免疫系は記号論の世界
7 免疫を制御するリンパ球
8 免疫系にも弱点が
9 アレルギーは国民病
10 ガンを免疫で治す
あとがき

 1995年に出た「免疫の不思議」の改訂版。自己−非自己を認識する免疫系が、結果として感染防御になる。また、ランダムに抗原受容体遺伝子を再構築するという膨大な無駄のために、今は存在しない病原体にも対処できる可能性を持っている。さらに、フィードバックとしての免疫制御系ももっていて、全体としてのバランスがとれている。

 免疫で対処しにくいのが、免疫系を攻撃するすエイズ、また本来「自己」であるガンである。しかし、これらに対しても対応が考えれるようになってきた。また、近代の過度の清潔さが抗原・抗体反応を調節する細胞(Th1細胞とTh2細胞)の相互制御のバランスを崩していることも強調する。

2004年11月記

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