すばる望遠鏡

すばる望遠鏡 家正則 岩波ジュニア新書422
ISBN4-00-500422-9 2003年1月 780円

目次
序章 ハワイ島へ
第1章 ファーストライト
第2章 すばるにいたる道
第3章 新しい望遠鏡の構想
第4章 建設始まる
第5章 立ち上げ
第6章 数々の成果
第7章 補償光学
第8章 すばる望遠鏡の次を構想する
終章 心からの敬意を
参考文献

 筆者はすばる望遠鏡建設の中心人物の一人。すばる望遠鏡の建設にいたる秘話が多く語られている。すばる望遠鏡の工学的工夫の数々が明らかにされていておもしろい。ガラス(反射鏡)の変形を自動的に補正する能動光学とか、空気の揺らぎを補正する補償光学(筆者のアイデア)など。また、すばる望遠鏡は赤道儀方式ではなく経緯儀方式で動き、駆動は歯車ではなく油を流して望遠鏡を浮かす(摩擦をなくす)静圧軸受になっているそうだ。また独特の円筒状ドームも、風を両側に逃がすためだそうだ。ユニークな赤外線観測装置も紹介されている。

 もちろん、すばる望遠鏡で得られる素晴らしい画像や、その解説もバランスよく書かれている。これまで見つけた中でもっとも遠い銀河、重力レンズから見たダークマター、極赤銀河の解釈(レンズ銀河)、銀河中心から円盤の上下に噴き出す超銀河風など。

 ほかにも、補償光学は医学などにも応用できることも書かれている。

 惜しむらくは、索引がないことか。

2003年2月記

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