ロビンソン・クルーソーを探して

ロビンソン・クルーソーを探して 橋大輔 新潮文庫
ISBN4-10-124331-X 514円 平成14年(2002年)7月

目次
第1章 300年前の奇跡を追う
第2章 故郷
第3章 ロビンソン・クルーソーの島
第4章 探検
第5章 埋もれた4年4か月
第6章 海に消えた男
第7章 伝説
第8章 発見
謝辞
文庫版のためのあとがき

 ロビンソン・クルーソーには実在のモデルがあった。そのモデルはイギリスのアレクサンダー・セルカーク(1676年〜1721年)。

 彼が一人でサバイバルをしたのは、当時無人島だった南米チリ沖のファン・フェルナンデス島(1966年に観光をもくろむチリ政府がロビンソン・クルーソー島と改名、しかしそれは成功したとはいえない)。彼は生来の乱暴者で、乗っていた私掠船(政府公認の海賊船)からこの島に放置されたのだ。そこで、1704年11月〜1709年2月まで一人で生活をした。デフォーのロビンソン・クルーソーは1719年に出版されている。

 結局、1994年に筆者がこの島を調査したときは、ロビンソンが生活をした具体的な痕跡を見つけることはできなかった。しかし、TVの取材に同行した2001年に、どうもそれらしい石造りの家のあとを発見する。

 ちなみに、セルカークを置き去りにした船は、当時敵対していたスペイン船に拿捕され、多くの乗組員が死亡・行方不明、僚船は同じく敵対していたオランダ船に拿捕され全員投獄(後に釈放)されたという。何が幸いするかわからない。しかし、セルカーク自身、陸の生活に結局なじめず、再び船に乗り洋上で病死する。

 もちろん、筆者が発見した石造りの家の痕跡がセルカークのものであるかは、確定しているわけではない。

間宮林蔵・探検家一代

2003年8月記

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