浅間山大噴火

浅間山大噴火 渡辺尚志 吉川弘文館歴史ライブラリー166
ISBN4-642-05566-5 1,700円 2003年11月

目次
天明三年の大噴火
噴火を記録する
噴火を解釈する
復興に努める
上野国の大名・旗本領でのとりくみ
激甚被害の村で
復興への尽力と歴史の転換−プロローグ
あとがき
参考文献
付表

 1738年、浅間山の噴火の影響。火砕流に襲われて直接被害を受けた地域と、その後の泥流で被害を受けた吾妻川の流域の人々。

 なかでも鎌原村は人口597人中死者466人という壊滅的な打撃を受けた。近隣の有力百姓達が家族の再構成を含めた救援の手をさしのべるが、復興はままならない。

 こうした大噴火をたんなる自然現象を見る人たちもいた。

 筆者はこうした過去の災害を、今後の自然災害に対する教訓としたいという意志でこの本を書いた。

 なお、浅間山のこの噴火は、人間にとっては大噴火かもしれないが、自然科学的には大噴火とはいえない。つまり、この本で示唆されている天明の大飢饉を招いた冷夏との関係は薄いと思う。この噴火の噴出物総量は2億m3であった。ちなみに、富士山の宝永の噴火の噴出物総量は8億m3、1914年の桜島噴火では20億m3であった。さらに2.2万年前の姶良火山(桜島のもともとの火山)では200億m3(200km3)といわれている。

2003年12月記

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